◆いつか立ち上がると
信じて

◆誰かの役に立てることが心の癒し
◆冬の暮らしを守る支援
◆2千2百万人の悲しみ
◆戦闘の始まり
◆戦闘に巻き込まれた
?!

◆「避難する」ということ
◆避難する人々の上に
降る悲しい雨

◆支援現場での葛藤と
選択

◆終わりなき苦悩。
漂流する難民・避難民

◆正確な情報とは?
◆働く喜び!
◆贈る喜び
◆習うより慣れろ
◆道なき道をゆく人びと
◆終わらない戦争
◆小さいけれど大切な
こと

◆お節介のすすめ
◆思い浮かぶ豊かな自然と人々の顔
◆柔らかい会議
◆何を基準に募金を
しますか?

◆「おはなし隊」が終わります
◆平和を構築する
ジグソーパズル
◆JENとわたし
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わたしと仕事

習うより慣れろ

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アフガニスタンで現地スタッフと事業参加者とともに

ここ1年ばかりの間に、『仕事』に関して意見を聞かれることが増えた。仕事というのは面白いもので、できるようになったと思ったことが出来なくなる時がある。それをスランプというのかもしれない。そんな模索中の私だが、この仕事を与えて頂いた1994年から、常に前向きでいようと心がけ、より良いやり方を求めてひたすら試行錯誤を続けている。一つ、スランプになっても余り失われないのが、判断のスピードだ。それは『習うより慣れろ』に尽きると思っている。

事業を実施していても、日々多くの判断を迫られる。例えば、難民の人たちが破壊された家に住んでいるとする。寒い冬を乗り切るためにも、家を直さなければならない。だが、そこは家を追われて避難した別の人たちの家だった場合、家の再建をサポートすることで、元々の持ち主が帰って来にくくなる。サポートするべきか否か。こうした問題には正解はなく、その時々で、最善の解決法も違ってくる。

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エリトリア現地スタッフのファミリー

そんな局面に幾度となく立たされる。迷い悩んで答えを出す。その作業を繰り返すうちに、判断に際してしなければならないことが判るようになってきた。特に『出来る限り情報を集めること』と『判断基準となる軸を定めること』は、意識するようになった。その意識するようになった判断基準は、『(難民の方もJENのスタッフも含めて)一人一人は等しく尊い』『JENのスタッフで不要な人は一人もいない』そして『公平であること』の三つ。事業に関する事柄の他にも判断を迫られることは多々あった。

1994年に立ち上がった当時、JENは、立正佼成会を含む6団体が合同で実施する『プロジェクト』だった。従って組織体制もいたってシンプルで、統括責任者が私、その下に5つの事務所があってそれぞれに所長が一人。所長の下に1〜5人の国際スタッフと3〜20人くらいの現地スタッフ、という布陣だった。

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エリトリアの養鶏事業参加者と現地スタッフ

シンプルな組織だって、人が複数いれば様々な人間関係が生まれてくる。当時、全員が事務所に住んでいたから尚のことだった。『親友と絶交したかったら一緒に住め』と聞いたことがあるが、細かな生活習慣の違いは人間関係を複雑にすることもある。5つの事務所に散らばった15人の国際スタッフも、それぞれの事務所で同僚と一緒に住み、且つ一緒に働く中で、ストレスを溜めていく部分もあったと思う。今と違って通信事情も悪い。インターネットもまだ仕事に使うほど普及していなかったから、故郷の家族や友人と連絡を取る機会も限られている。慣れない新しい仕事、友達もいない新しい土地で、みな精神的に厳しい日々を過ごしていた。
同じJENの国際スタッフと言っても他所の事務所の同僚たちとは互いに出会ったばかりで、気軽に悩みを打ち明けるほどにはまだ打ち解けていない頃、全ての事務所をまんべんなく回っていた私は、みんなと何度も会っていた。かくて私に持ち込まれる相談事は、仕事に限らず、みんなの日々の暮らしにおける悩みに及んだ。

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カシミール地方バーグにあるJEN事務所前で

悩み、迷い、決断する。可能な限りの全てを動員して判断したことは、責任を持って実行する。たとえ大成功の結果をもたらさなかったとしても、真剣に悩んだ末の判断は、良い結果につながることが多い。もとより『正しい判断』など存在しないのだ。人々の持つ力を信じ、その力が120パーセント生かされるように、出来る限り邪魔をしない、それが正しい判断ならば、正しさ自体が相対的なものだ。そうするうちに、自分の判断の軸が定まってくる。今の私には新たに二つの判断基準が加わった気がする。『兎に角いのちを優先する』『必ず世界は変えられる』ということだ。以前は一つの判断に随分時間がかかったが、今は悩むことは殆どない。嬉しいのは、仕事以外の個人的なことでも殆ど悩まなくなったことだ。今では、判断材料さえ揃っていればどんな判断もほぼ1分以内に終わってしまう。やはり習うより慣れろ、だと思うのだ。

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