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◆ひとつの林檎
◆雨の向こう側に。
◆フワリと空に
◆愛について。
◆夜空を見上げて――。
◆アンテイキョウキュウ
◆星の夜空に。
◆鏡の中にいるわたし
◆キラキラやピカピカ
◆わかっていても
◆ゼラニウムとわたし
◆けやき並木に
◆あてがなくても
◆わたしが消える日
◆空を見上げて
◆ヘンテコなステップで
◆くらしの中に
◆ゆびさきに春
◆春の扉
◆わたしの夢
◆美しい晩に
◆空の劇場
◆星を飾れば
◆秋も深まる頃に

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◆インデックス

わたしを見つける場所

あてがなくても

あてがなくても──、というよりも、そんな気持ちは飛び越えて、美しい靴を買いました。大好きなフランス人デザイナーの靴で、ずっと心の中に思い描いてきたような黒いエナメルのワンストラップのハイヒールシューズです。
聳え建つように高い踵の高さは、10cmはありそうです。つま先の丸さと、黒いエナメルの輝きを持つ完璧なシルエットのこの靴が、おしゃれごころをときめかせて、「あのセーターにあのスカート、そして、こんなタイツにこの靴を履いて……」とか「あのコートにあのスカーフを結んで、耳にはいつか買った金のフープピアス、そして、この靴を履いたらパーフェクト!」とかと思いを巡らせて、気分は高まっていくのです。
でも、問題は、この完璧なスタイルの10cmはあろうハイヒールシューズを履いてどれだけ歩けるかという事です。でも、そんな問題がこの靴を買わせる気持ちの障害にどうして成り得るはずがありません。だって、もう、この靴を買っただけで気持ちは空の上にまで昇って、高い高い山に一気に登ってしまったみたいです。

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いち日中歩いても疲れない靴は、手放せないけれど、たとえ、一歩も歩けない靴でも、千日歩ける程の価値を見い出す事もあると思うのです。
それは、むしろ、わたしにとっては、なににも替え難い夢のようなもので、この夢なしに、いち日中歩いても疲れない靴をもっても、たった一歩でさえ歩けそうにありません。現実を生きる為の夢、夢をみる為の現実。その間を行ったり来たり。ずい分と我儘な人生だと思います。もう少し大人になって落ち着いて生きたら──、と思う時もあります。ゆったりと夢見るように生きるというような。 だけど、それは、まだまだ先のお話かも知れません。もうしばらくは美しいものを夢見て、美しいものに憧れて、美しいものを追いかけていくのだろうと、この美しい靴に、夜中に足を滑り込ませては思うのです。

 

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