
なんと社長に『パラサイトOL宣言』!!
一生、寄生できるのか!?
私は男運を除いて、本当に果報者だと思う。有給休暇で海外へのひとり旅ができるのも、イイ会社に巡り合えたおかげだ。でも本音を言うと、仕事よりも旅がしたいのである。で、いろいろ考えた挙げ句、私は先日、テレビ局へ新番組の企画の売り込みに行ってきた。
「実は私は会社勤めをしながら、こんな本を出しておりまして」。初対面のMプロデューサーを前に、私は昨年、幻冬舎から出版した紀行本『ガンジス河でバタフライ』を取り出した。表紙の写真はタイトルのまんま、なんのヒネリもない、私がガンジス河でバタフライをしている姿である。「ハァ〜、この豪快に泳がれているのがご自身で……」。もうその時点で、彼の目はテンになっていた。「今まで25ヶ国ひとり旅してきたのですが、どんな国でも行き当たりばったりで現地の人と仲良くなり、普通のお家に泊まらせてもらったりしてます!」。企画のプレゼンだというのに、私が自分の趣味のことばかり熱く語るのを、
彼は不思議そうに聞いていた。
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手で直接すくって食べるのが、モロッコ風
(写真は名物のクスクス) (c)たかのてるこ |

私は思い切って本題に入った。「こんな私の旅を、そのまま旅番組にしたいんです。つまり私が旅人で、監督もプロデューサーも兼任ということで」「えぇ!? 制作者自身が出演ですか!?」。番組のタイトルは『モロッコで断食(ラマダーン)』。内容はそのまんまで、私が行き当たりばったりでモロッコを旅し断食を体験するというモノ。初めは彼も奇想天外な企画にア然としていたが、次第に私の話に乗ってきてくださり、後日の連絡ということになった。
そして先日、ようやくMプロデューサーから連絡が入ったのだ。結果は「やる方向でいきましょう」とのこと。あぁ、この喜びをどう表現すればいいだろう! 誰にも気兼ねすることなく、仕事中に「どこに行こうかなぁ〜」なんてことを考えていられる幸せ! しかも旅行費は全部タダ! 私はもう昇天してしまいそうになるくらい舞い上がってしまい、満面の笑みを浮かべてニヤニヤしっぱなしであった。

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会社じゃいつも笑われっぱなし!?でも、一応銀座のOLなのです。 |
そんなとき、会社のエレベーターの中で、我が社の社長とバッタリ遭遇した。「おう、自分は今、何をやっとるんや?」。社長に声をかけられたので、ハイテンションだった私は大声で答えた。「ハイッ、新番組をバリバリ企画してますっ!!」。私のあまりのハッスルぶりに社長が言う。「ハッハッハ! 相変わらず威勢がええなぁ!
わしはもう吉本(興業)にでも行ったと思とったわ〜」って、そんな殺生な! 芸風は“お笑い”でも、私はれっきとした会社員なのだ。「吉本に売るだなんて、そんな冷たいことおっしゃらんで……」。話の途中だというのに、エレベーターは私の職場に着いてしまった。閉まっていくドアに向かって私は叫んだ。「このまま一生、会社にいさせてくださ〜い!!」。社長に直談判で“パラサイトOL宣言”をしてしまった私。そう、寄生虫である私は、まだまだ卵(番組)を産むつもりなのだ。もちろん、愛する会社で!
※短い間でしたが、読んでくださった皆さん、どうもありがとうございました。
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