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人生なんてへっちゃらさ!

旅先で一番ハズカシいこととは!?<スリランカ編・その2>

夏休みにスリランカをひとり旅してきたのだが、列車に乗っていたときに、ものスゴい場面に遭遇した。車内に、合唱したり、ゲラゲラ笑ったりして盛り上がっている、めちゃめちゃハイテンションな団体がいたのだ。そのうち彼らに「キミもこっちに来なよ!」と誘われ、私はそのグループのド真ん中に座らされてしまった。

よく見ると、通路を挟んで盛り上がっているこの十数人の団体、年齢が異様に離れているではないか。右側のグループは20歳前後の大学生の男の子たちで、左側は60歳すぎのおじさん連中なのである。元々の知り合いではなく、車内で意気投合したというから驚きだ。しかも、若者たちは全員イスラム教徒、おじさんたちはヒンドゥー教徒と仏教徒の混在グループ。年齢も民族も宗教も越え、みなが同じ「スリランカ人」としてひとつになっている光景を見て、私はなんだか感動してしまった。スリランカは一見、おだやかな国なのだが、一部の地域ではタミル人過激派によるテロ事件が勃発しているという問題を抱えている国なのだ。でも今、この車両の中には、宗教戦争も民族紛争もない。あるのは人類共通の“笑顔”だけなのだ。なんてハッピーな光景なんだろう!

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スリランカの吟遊詩人! 私のために歌を捧げている最中のおっちゃん (c)たかのてるこ

みんなでワイワイ話していると、ひとりのオヤジさんが即興で私に歌を捧げると言い出し、「♪王妃のようなキミは、まるでさくらの美しさぁ〜!!」などと民族音楽調に歌い始めた。みなが大受けしながら手拍子を始め、もう歌って踊っての大騒ぎ。そして、オヤジさんはオペラボイスで何曲か熱唱した後、私にこう言ったのだった。「さぁ、次はキミの番だ! 我々に、是非とも日本の歌を聴かせてくれ!」

えぇ!? そ、そんなぁ! カラオケで歌うのは好きでも、それはあくまで酒の力を借りてのこと。白昼、シラフで、しかもこんな大勢の前で歌うなんて、ハズカシいにもほどがある。だが、すでに盛り上がりは車両全体にまで及んでおり、何十人もの乗客たちがこちらを向いて、私が歌うのを今か今かと待っているのである。シェーッ! いったい何を歌えばいいんだ!? 私のカラオケでの十八番といえば椎名林檎の『罪と罰』だが、この平和なムードの中でアグレッシブに「♪頬をさ〜すぅ、朝の山手ど〜りぃ」と巻き舌で叫ぶのはどう考えても違うよなぁ……。ウーム、やはり日本の心といえば演歌か? 最近のヒットっていうと、あ、大泉逸郎の『孫』!
って、この年であの歌はないよなぁ。じゃあ若いところで『箱根八里の半次郎』か? でも考えてみれば「やだねったら」のサビしか知んねーじゃん!

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大盛り上がりの車内。
この光景は平和そのもの!
 

考え抜いた結果、私は沖縄民謡風の『島唄』を歌うことにした。だが「♪島唄よ、風に乗り〜」と歌い出したのはいいが、知っている曲のハズなのに、いざアカペラとなると歌詞が出てこないのだ。手拍子の鳴り響く中、歌をやめることもできない。ええぃ、どうせ日本語なんて分からんだろうと思い、私は「♪ウージの森で、ハヒヘヒホヒハ〜!」とデタラメな日本語(?)を並べ立て、必死に歌い続けた。まるで和田アキ子のモノマネをやっているような気分だったが、なんとか「ハヒヘヒ」で難を切り抜け、最後まで歌い終わると、車内中から拍手喝采の嵐。ようやくホッとした私に、みなが声を揃えて言う。「アンコール!! アンコール!!」。そんな、同じ歌だって、もう二度と歌われへんっちゅうに!

 

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