去年、私がデビュー作『ガンジス河でバタフライ』を出版したとき、島田紳助さんに本の帯に推薦のコトバを頂いた。思えば紳助さんは私にとって、“友だちとはなんぞや”ということを教えてくれた人だった。出会ったのは、学生時代のこと。紳助さん司会のテレビ番組に私が素人として出演したとき、大ボケをかまして爆笑されてしまい、以来、おつき合いさせて頂くようになったのだ。
初めて紳助さんの家に遊びに行ったときのことは、今でもよく覚えている。家には若い芸人さんらを中心にいろんな人たちが集まっていて、紳助さんは自ら台所に立ち、あっという間に十数人分の夕食を作ってくださったのだ。みんなでワイワイ食事しているうちに、ひとりの芸人の卵らしき人が紳助さんに、「どうすれば売れるんでしょう?」というような質問をした。すると、紳助さんは真剣な顔つきになり、「なんで売れへん芸人が、テレビに出ては消えていくか分かるか?」と聞き返したのだ。質問した彼は、「それは…やっぱり面白くないからですよね」と答えた。私もそう思った。でも、紳助さんはこう言ったのだ。「売れないヤツの一番の弱点はな、ほんまの友だちがおらんことなんや」。へ!?

友だちぃ? その人の才能と友だちなんて、関係ないんじゃないの!? 頭の中が?マークでいっぱいになってしまった私だったが、紳助さんは話を続けた。「ほんまの友だちやったらな、『そのネタおもろないぞ』って、ほんまのことを言うてくれるはずなんや。なのに芸人目指すって言うたら、まわりは『おまえは面白いから絶対、大丈夫や!』って、無責任に盛り上げるだけ盛り上げるやろ? でもな、ほんまのことを言うてくれへん友だちなんて、友だちやない。友だちのおらんヤツはあかん。人生で大事なんは、何を目指すかよりも、まず、ほんまの友だちを作ることなんや」
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フィリピンのこどもたち |
私はそのコトバを聞いて、なんだか胸が熱くなってしまった。それは、どの世界にも通じることだと思ったからだ。私には、ホントの友だちがいるだろうか? 私は今まで、相手を傷つけまいと気遣うのが友情だとカン違いしていたんじゃないか? さまざまな思いが胸をよぎる。本当の友だちなら、ダメ男と付き合ってヒドい目にあっているヤツには、「いい加減、別れな!」と言ってあげなきゃいけなかったのだ。役者を目指している友だちの芝居が大根だったら、「演技がクサいよ!」と、言ってあげなきゃいけなかったのだ。自分だって友だちには、本当のことを言ってほしい。
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東京で作ったベストフレンドたち |
友情は『友の情』と書くけど、実のところ『友が情けない』だったのかもしれないなと思う。お互い、情けないところだってさらけだしてしまえることが、ホンモノの友情だったのだ。それ以来、私は、友だちを無理に増やそうとは思わなくなった。少なくてもいい、本音を言い合える友だちだけがほしい、そう思うようになったのだ。
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