ホリスティック整体編
「だまされたと思って一度行ってみなよ」。友人にそう言われ、「ホリスティック整体」を訪れた。
「ホリスティック」とは『精神・身体・環境がほどよく調和し、与えられている条件において最良のクオリティ・オブ・ライフ(生命の質)を得ている状態』(日本ホリスティック医学協会ホームページより)を言う。私は最近、体が疲れているのだか、心が疲れているのだかわからない状態のままダラダラと日常を送っている。長くホリスティック整体を続け、いつもはつらつとしている友人だけに、「だまされたと思って」の言葉に十分な期待をかけた。
雑居ビルの2階。扉を開けると「どうぞ」と白衣を着た初老の男性が迎えてくれた。声の感じも優しく、表情も穏やかだ。一人で経営しているという。施術の受付時間を訪ねると「患者さんの希望に応じて、夜遅くても受け付けていますよ。働いている人も多いですからね」とのこと。第一印象で心を開いてしまった単純な私は思わず言ってしまった。「あの……私、ものすごく期待してここに来たんですよ〜!!」。<だからなんだって言うんだ>。「そうですか。ハハハ、わかりました。リラックスしていってくださいね」。この先生は、言葉でも人を治療しているのではないかと、少し大げさに感動を味わいながら、私は施術用のベッドに横になった。
まずはうつぶせになり、先生が私の両足首を押さえて「顔を右に向けてください」「次は左」と指示する。そのあとは、仰向けになって施術が始まる。足専用のマッサージ器が置かれ、先生は私の枕元に座って、首を指でやさしくさわった。
「2番と3番がずれていますね」。さきほどのうつぶせと、首を実際にさわることで、骨のずれがわかるらしい。しかし、私には「ずれている」と「凝っている」との違いがよくわからない。「それって……どういうことなんですか?」。「筋が張っているのが凝りです。首の骨がずれると、首以外の症状としても表れてくるんですよ」。首の骨は7つあって、私の場合、上から2番目、3番目がずれたことで胸から上の機能に支障をきたしやすいのだと言う。どうやら最近、くしゃみ、鼻水、鼻づまりに悩まされているのは、そのせいもあるらしい。
先生は首をやさしくもみながら、ずれている骨を矯正していった。その間、私が話しかけない限り、先生はあまり言葉を発しない。「いつも黙って治療されているんですか」と聞く。先生は整体だけではなく、催眠療法などを通してうつ病や精神障害の治療をサポートしているという。患者によっては、話しかけてほしいくない場合も多い。一方、話を聞いてほしくて、機関銃のように話しまくる患者もいるため、患者の状況に応じて対応しているそうだ。
「泣きたい人は泣けばいいし、寝たい人は寝てもいい。心も体も癒されなければ健康とはいえませんからね。ここではなんでもありですよ」。そして、先生は私の首の付け根に指を当て「脳の波動が乱れてますね。頭の中が忙しいでしょ」と言った。そして「緊張しているでしょ、楽にしてください」と。<なんでわかるの……>と思っていたら「だって、ずっと目を開けているでしょう。私に『何をされるのか』という拒否反応を示しているのかな。治療を受けているのに肩が凝ってしまっては体がかわいそうですよ。目をつぶってみてください」とまたまた優しく言ってくださった。
先生の言うとおり、目を閉じる。首の付け根から先生の指が離れ、「はい、波動が整いましたよ」と言われた。そのあとは肩や腰などをもみほぐしたり、ストレッチのような動きをしながら約1時間の施術は終わった。
体も心も爽快だ。しかし、最後に先生に言われた。「継続したほうが、心と体のバランスが保たれますよ」。
単純な私はその後、5回ほど通っている。体の健康はもちろん、心のバランスも保たれているようで、家族からは「イライラすることが少なくなった」と言われる。(もともと怒りっぽい性格で、家族は頭を抱えていたようだ)。ある時、先生にそのエピソードを話すと、自律神経が整っている証拠とのこと。
体の機能を整えることで、心も自然と整ってくる。そして、心が整ってくると、身の回りの環境もよいものになっていく。『精神・身体・環境がほどよく調和し、与えられている条件において最良のクオリティ・オブ・ライフ(生命の質)を得ている状態』というホリスティックの意味をあらためて実感した。
(スタッフ・YAM) |