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私は今年57才になります。「美しく年を重ねる」という、とても難しい題をいただきました。思うと、今の私は美しく年を重ねているか、反省しきりです。
そんな時にヘルマン・ヘッセのこんな言葉に出会いました。「人は成熟するにつれて若くなる」。ヘッセは、「すべての人に当てはまるとはいえないけれど、私の場合はとにかくその通りです。私は自分の少年時代の生活感情を心の底にずっともち続けてきたし、私が成人になり、老人になることをいつも一種の喜劇と感じていたから」……と言っています。喜劇の意味するところは、面白く感じそれを楽しむ心といったらいいのでしょうか。客観的に自分を見ないとできないことですね。別の言い方で、心臓の鼓動が衰えてもなお微笑むことを学ばなくてはならない……とも言っています。若いころの感性、例えば青い空を見た時、ああ私はこのすばらしい青空があるかぎり生きてゆけると心から思ったような感性と、客観的に自分を見て「年を取るのも面白い」と感じる心とを養いながら、さらにほほえみを学ぶことで、ワインのように人生も熟成できるのかしらと思っています。
ご参考になるかどうかわかりませんが、私は二つのスタイルを心がけています。ひとつは外観です。少しは体重にも気を遣い、毎日計るようにしています。好感の持てる見た目も大事と思っています。髪形や化粧、服装にも無頓着な人間にはなりたくないと思っています。
ひとつは心の持ち方です。外見は多少ごまかせますが、顔は表情筋が動いて心が作るものですから、ごまかしがききません。いつもみけんにタテジワを寄せているような感情を使わず、自分でも満足した心豊かな人生をおくり、まわりの人々にも喜んでもらえる心の持ち方をすることによって、よい表情がつくられ年を重ねて“華齢(加齢)”になるようです。
韓国では「一少三多」が心豊かにくらせるコツと教えています。ひとつ少なくして三つ多くするということですが、少なくするひとつとは、食事。腹八分目を心がけるということです。三つの“多”とは多接(多くの人に会って感動し、知恵や生き方を学ぶ)、多動(心も身体もマメに動かす。ダイエットにもなるし、まわりの人達とよいコミュニケーションができる)、多忘(イヤなことは忘れましょう。クヨクヨしない! 人間は失敗などして30分間クヨクヨするだけで、白血球の中の細菌を殺す力が20%減少するそうです)、のことです。
愛(思いやりの気持ち)と希望と感動をキーワードに、「一少三多」、そして時間を大切に使うことを心がけて、外見も内面も決して若づくりせず、その年令にふさわしい雰囲気がだせるようお互いに精進いたしましょう。
長い間、おつき合い下さいまして、心から有難く、感謝申し上げます。ありがとうございました。
岩下宣子(現代礼法研究所主宰・マナーデザイナー) |