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「人の世の幸、不幸は人との出会いから始まる」と言った方がいます。できることならよい出会いを重ねてゆきたいと思うのは誰も同じだと思います。そして出会いにおいては第一印象が大事と言いますが、では第一印象ってなんでしょう?
人間の心は複雑のようですが、対人関係のベースになっているのは「好きか」「嫌いか」です。人に会った時「感じがよい・好ましい」と思うと、その人の言うことはわりと素直に聞けますし、反対に「嫌な奴」という印象を持つと身がまえてしまいます。その判断を、人間は会った瞬間にしてしまうのです。口をきくまえに「好き・嫌い」を決めてしまうということは、それほど外見から受ける印象が大きいということです。外見とは、髪型や髪の色、顔の表情、着ている物、靴、姿勢、手などですから、でかける前に大きな鏡に自分の姿を映し、他人の目になってチェックするのもよい出会いを得る第一歩といえるのかもしれません。
また、人に好印象を与えるセンスは、電車の中や街を歩く時などにも学べます。ステキな人、と思ったらその人が着ている洋服や色彩感覚、アクセサリーの選び方を見て、私に似合うかしらと考えてみることです。学ぶとはまねから起こった言葉ともいわれますので、もちろん雑誌などからも学べます。
「気は衣から」というように、人間の心は色も含めて着るものに左右されます。自分の好きな色、好きなデザインを身にまとうことで心が浮き立てば、人間関係も自信をもってつくれることでしょう。また、季節感をとり入れた色づかいをすることによって、好印象を与えることも覚えておきましょう。夏に暑苦しい色を選んだり、冬にサムザムとした色の服を身につけるのはいかがなものでしょうか。季節の少し先どりはよいことだと思います。さらに靴については、女性は特にカカトに注意したいものです。自分では見えませんが、人からはよく見えるところだからです。そして最後は姿勢です。いくらよいものを着ても、姿勢がよくないと映えません。「気は姿勢から」という言葉があるように、気分のすぐれない時こそ姿勢をシャンとするとよいようです。いつも心がけていただきたいのは“おへそタテ”に保つことです。“おへそタテ”とはお腹にシワが寄らない姿勢のことをいいます。姿勢をよくすることは、内臓器官の働きをよくするとともに、おなかのゼイ肉がつきづらくなるという利点があるのです。おなかの筋肉をいつも使うことになるからです。「人生とは習慣の織物です」――。よい出会いのためにも、よい習慣を身につけたいものです。
岩下宣子(現代礼法研究所主宰・マナーデザイナー) |