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マナーは思いやりの気持ちをその場、その時に応じて相手に伝わる形であらわすもの。
そして、贈り物もまた、思いやりの気持ちの表現です。
プレゼントをする時、相手の気持ちになってあれこれ考えるのですが、これがなかなか難しいですね。
私の友人に、誕生日にいつも感動するプレゼントをくれる人がいます。彼は、旅行先でもウインドーショッピングなどしている時に<あっ、これをあの人に贈ったら喜ぶだろうな>というものがあったら、すぐに買い求めておいて、贈るようにしているそうです。自分のことで精一杯な私には真似できないことですが、少しでも彼のような思いやりあふれる贈り物を、と心がけるようにしています。
『この世の中で純粋な喜びは他人の喜びをみることです』と言った人がいますが、心の豊かな人は純粋な喜びを知っている人なのでしょうね。
ずっと以前、わが子が100円玉を手に、私の弟に贈るプレゼントを買いに、デパートへ行った時のことです。あれこれ選んで100円ライターをみつけ、リボンをつけてもらいました。その帰り道、息子が「お母さん、人からプレゼントされるのって、とってもうれしいことだと思ったけれども、人にプレゼントをするのはもっとうれしいね」と言いました。息子はこのプレゼントをあげた時の私の弟の顔を思い浮かべ、そう言ったのだと思います。
また、こんなこともありました。年上の女性に友人と2人でバースデーの贈り物をしたところ、私の趣味ではないとクレームを言われたのです。デパートの中を何時間も歩いて探し、贈ったものですからがっかりしました。その経験から、自分の趣味にあわないものを贈られたとしても、贈り主が自分のために使って下さった時間や好意に対して、感謝する心を忘れないようにしなくては、と思いました。
プレゼントをする時は、その方の好み、興味、健康状態など、よく知っておかなければ喜んでもらえるものは贈ることができません。日ごろの会話の中でその方の情報を仕入れておくとよいでしょう。それから、心のこもった言葉でつづったカードや手紙も忘れずそえたいものです。私たちは、言葉の力によって元気にさせてもらえることがあります。言葉がそえられた贈り物は、より素敵なものになるのではないでしょうか。
岩下宣子(現代礼法研究所主宰・マナーデザイナー) |