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「マナー」というと、堅苦しいものと考える方もいるようですが、実は自分も相手も幸せにするもための方法なのです。フランスの哲学者アランは「他人に対して礼儀正しくあることは幸せになる秘訣である」と言っています。
「マナーは愛」と言ったのは、農政学者の新渡戸稲造です(5千円札のモデルになっている人)。『武士道』という本の中で「体裁を気にして行うのならば、礼儀とは浅しい行為である。真の礼儀とは、相手に対する思いやりの気持ちが外に表れたもの、礼儀の最高の姿は愛と変わりありません」と書いています。
思いやりの気持ちというのは、自分がされてうれしいことをする、自分がされてイヤなことをしない、しかも相手の立場に立って考えて行動することです。
しかし、いくらそういう気持ちが自分のなかにあっても、それを外に表さなければ相手には伝わりません。思いやりの気持ちを、相手に伝わる形(表情、態度、言葉、時には電話、時にはメール、時には贈り物等)で表現したものなのです。loveという言葉が日本に入ってきた時、「愛」ではなく「御大切」と訳したことからも、思いやることの大事さが分かると思います。
そんなことを新聞に書きましたら、広島の主婦の方から次のようなお便りをいただきました。
「思いやりの気持ちを自然に形に表すのがマナーなのですね。根底に流れるマナーの精神をはっきりと知ることができました。
わが家ではいつの頃からかこんな習慣がついています。夜遅く帰る人がいる場合、部屋のカーテンを閉めきらずに、レースごしに外からでも明かりが見えるようにしておくのです。『事故にあわず元気で帰ってほしい。待っているよ』と願う気持ちが、カーテンを全部しめ切ってしまう気にさせないのです。それが『あなたはとても大切な人です』と思う私の心の表れです」って。
「まわりの人を大切にしています」という表現がマメにできる人になって、お互いに幸せになりたいものですね。
岩下宣子(現代礼法研究所主宰・マナーデザイナー) |