
「あいさつは人間としての基本」と言うのは当たり前のことかと思っていたら、これがそうでもない。飛行機や新幹線で、おしぼりをくれたり検札に来たりする人に対し、何も言えない人が結構いるのだ。シビアな観察の結果、立派な男性サラリーマンに多い。「ありがとう」「ごくろうさん」などのちょっとした一言が言えないのを見ると、“立派”が“セコイ”に変わってしまう。しごく残念なことである。
しかし、一番驚いたのは近所の奥さんだ。家庭もあり、子供もいる。彼女に初めて出会ったとき、私はとびきりの“笑顔”を添えて丁寧にあいさつをした。そこから二人のつきあいが始まる。当然向こうからもあいさつをされるものと思ったら、な、な、何と! 彼女は私をシカト(無視)したのだ。あまりのことに目が点になった。“いい大人が何なのっ! 感じ悪い”。それ以降も、道で出会うたびに私をよけるのだ。なぜ? 多分、私のことがよほど気に入らないのだろうと思っていたら、彼女は近所中の人に同じ態度であることが判明した。あいさつをされなかった人たちは、“何か私が悪いことでもしたのだろうか?”と悩んでしまい、なるべく近寄らないようにしているという。
その上、彼女の子供たちもまったくあいさつをしないのだ。まさに“親が育てたように子は育つ”。が、会うたびに不愉快な思いをするのでは、こちらも美貌(?)にかかわる。彼女たちに対して私は駄目で元々と、逃げようとするのを無理に引き止めてあいさつをするようにしたところ、向こうもそれなりに打ち解けてくれるようになった。
少しずつ話すようになり、改めて彼女をよく見れば、細身でスタイルも良く、かなり美人風でもある。逃げたり、受け身のあいさつでなく、積極的に自分からあいさつをするようになれば、もっと輝いて奇麗に見えるだろう。周囲の環境も変わり、自分の世界も広がっていくに違いない。男性も女性もあいさつは美貌の元である。
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