line

◆言葉は生き物
◆あいさつの基本
◆あいさつは美貌の元
◆コンビニ言葉
◆「フロ、メシ、ネル」の
結末は?

◆敬語の悩み
◆女言葉 男言葉
◆親から子へ伝えたい
言葉

◆つなぎ卵
◆ユーモアとブラック
ユーモア

line

◆プロフィール


たかが言葉 されど言葉

あいさつの基本

photo

NHKの新人時代の指導は厳しかった。仕事に関することはもちろん、“あいさつ”に関してもまた格別だった。「アナウンス室に入るときと帰るときは必ずあいさつをせよ」というのだ。しかし、アナウンス室はアナウンサーたちが仕事の下調べをしたり、休息していたりと、てんでんばらばら。一体どこを向いてあいさつしていいのかわからない。怖さと自信のなさもあり、やっとのことで蚊の鳴くような声であいさつをするが、誰も返事をしてくれない。仕方がないので、なるべく目立たぬように出入りしていた。ところが! 翌日には“あの子はあいさつをしない”と、アナウンス室中に知れ渡っているのだ。場合によっては、北から南の支局全部に評判が知れ渡る、ということもある。“さすが放送局だけあるな”と感心してしまった。しかし一体どうしたらいいのか? 迷っているうちに、「あいさつをしない子」というレッテルが貼られてしまった。
同期に1人、あいさつが素晴らしくうまい女性がいた。にっこり笑ってはっきりと大きな声であいさつする。彼女の評判は抜群だった。が、彼女の本性は、私だけが知っていた。かなりの曲者なのだ。私は「人を表面だけで評価するのか。メッキは必ずはがれる」と反発を覚え、「本物はいつか理解される」と頑なにあいさつをしなくなったが、若気の至りで甘かった。私の評判は最悪になった。
その私が180度方向を転換したきっかけは結婚である。同じ局で働く夫が、周囲から「あんな女と結婚して」と言われたら気の毒だと思ったのだ。恥も外聞もなく、あいさつを乱発した。相手が返事をしようがしまいが、お構いなし。ひたすら夫のために踏ん張った。その結果、評判がこれまた180度変わったのだ。彼女をしのぐほどに。この時、私は悟った。『世間は表面で判断する。返事など求めず自分から、それも思いっきり派手にあいさつすればよい』と。それがあいさつの基本だ。以来、私はアナウンス室への出入りが楽しくなった。

 

Page up

 

Copyright (c) 2001-2007 Rissho Kosei-kai. All rights reserved.