スイスの医療事情
ボンジュール!
この冬、ジュネーブは、20年ぶりの寒さということで、インフルエンザが流行しています。我が家でも、長男がインフルエンザにかかり、その後、家族全員が感染しました。
スイスは、海外の中でも高水準の医療設備が完備されていて、安心して生活できる国ですが、日本のように、簡単に病院に行ける感じではありません。
まずは医療システムの違いです。基本的に完全予約制です。医院によっては、正午からの予約受付で午後2時以降の診療となり、非常に不便を感じます。一般的には、各家庭がホームドクター(そのほとんどが総合医で、入院施設を持たない開業医)を持ち、ホームドクターを通して専門医にかかります。入院などの場合も、ホームドクターが病院へ連絡を取り、入院先での治療にも立ち合うなどの重要な役割を担っています。もちろん、夜間救急病院に行くことはできますが、原則は電話で予約をしてから。診療内容を救急病院からホームドクターに伝えるようになっています。
また現地の人たちは、医療費が非常に高いことから、あまり頻繁には病院に行きません。スイスには日本の健康保険制度のようなものがありませんので、すべての人が民間の医療保険に加入します。補償が充実しているものを選べば、おのずと保険料も高額になります。診療を受ける場合は、加入している保険内容に合わせた受診が必要になります。医薬品を購入するときも、保険を使用する場合は医師の処方箋が必要ですし、保険を使わないで購入すると割高のようです。日本のように、気軽に「早めに病院で薬をもらっておこう」という発想は、なかなかできないのです。
しかし、医療費の精算方法は明瞭です。基本的に窓口での診療費や薬代の支払いはありません。後日自宅に請求書が届き、金融機関へ振り込みます。振込後、個人個人で保険会社に医療費の請求をし、保険会社が保険内容に応じて払い戻したり、また自己負担分を請求したりするシステムになっています。
初めて急患で診てもらったときのことです。熱を出した次男を診察しながら、「この辺(顔を指して)のどこかに菌が入ったのでしょう。心配なもの(菌)ではありませんよ」という医者のアバウトな説明に、とても困惑しました。「この辺」っていったい……。
またこんなこともありました。
チョコレートの本場スイスということで、わずか1ヶ月で虫歯になった長男と私。治療に行った救急歯科では、長男が泣き出し、「治療は無理!」とあっけなく断られてしまいました。別の歯科で治療したものの、押さえつけられ、休憩なしの治療に、長男も開いた口が痛かったようで、泣きながら治療を受けていました。長男が完治した後に私も診てもらいましたが、大人でもかなりハードな体勢で、ひっぱられている口が裂けそうでした。長男の痛さを思うと涙が出ました。
そして、さらに習慣の違いを実感した出来事が……。
昨年の秋ごろから、子供も私も頻繁に風邪をひくようになり、予防のために、スーパーや幼稚園、病院へ行くときには、マスクをしました。しかし、行く先々で、強い視線を受けたのです。確かに、マスクをしている人は一人も見かけません。マスク自体売っていないのだとか。
ある日、主人が幼稚園に長男を迎えに行った折、担任の先生から、「それ(マスク)は、何でしているのか?」と聞かれたのだそうです。「風邪をひいているので、他の子供たちにうつさないように、また、予防のためにかけている」と説明したそうですが、マスクをすることで、かえって怪しまれる(伝染性疫病などに)場合がある、と知人に教えられ、とても驚きました。あの強い視線は、確かにそんな風にも思える……。
それ以後、マスクをすることはやめました。「郷に入れば郷に従え」ですかね?
オルヴォワール |