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◆地球のどこかで 暮らしエッセイ
さまざまな国での暮らしを経験。 支援活動に奔走する毎日を送る武田さんです。
Mamaと呼ばないで
いきなりの大家族(?)皆がこの家を守ってくれる。右から警備員、庭師、家政婦、番犬。
海外の生活では、住む先々に驚きや戸惑いが隠れていて、それが楽しみになったり大きな頭痛の種になったりする。特にアフリカという、日本とは文化や環境が大きく違う土地での生活は、その度合いが大きいようだ。 日本を発つ前から、現地の様子は色々と聞いていた。街の雰囲気や家の様子など、ある程度わかったつもりでここにやってきた。しかし、やはり現実と想像の世界には違いがある。想像より良かったのは自然。家の周りは本当に多くの緑に囲まれ、まるで小さなジャングルに住んでいる感じ。毎日訪ねてくるベルベットモンキーを眺めるのはとっても贅沢に感じた。しかしそれとは逆に、想像以上に大変だったのはお手伝いさんたち。まさか自分がそういう人たちを雇うとは夢にも思わなかった。
リトルジャングル。広すぎて一枚に全体をおさめきれない。
例えば、ここでは外国人はどうしても狙われやすい。そのため、どこの家でも24時間警備員を置く。昼と夜で1人ずつ。 そして、庭。300坪もある。しかも、見たことがないような植物や木が植えられている。いくら日本でガーデニングを好きでやっていた私とはいえ、世話をするのは大変。そこで庭師1人を雇った。 また、ここはとにかくほこりが多い環境なだけに、掃除は不可欠。1日でも掃除しないと、窓ガラスや床にはうっすらとほこりの膜がはる。洗濯は手でやらなければいけないし、洗濯物に卵を産みつける虫がいて、知らずに着てしまうと体内に入り込み成長をしていくという恐ろしい現状がある。なので、洗濯物は下着でさえアイロンはかかせない。 それに料理や買物をするとなると、もう家事で振り回されて一日が暮れてしまう。しかも住み始めてまだ何もわからない状況では、一つ一つをこなすのに人の何倍時間がかかるかわからない。タンザニアを去る時に生活を振り返ってみると、結局家事の苦労話しか残らないなんて事にもなりかねない。「家政婦さん」を雇うなんてとっても贅沢、と二の足を踏んでいたが、働き口を増やすことで少なからず現地に貢献するという意味でもお世話になる事にした。私たち夫婦をふくめ、総勢6人プラス1匹が一つの家で一緒に時間を過ごすことになった。
交代の時間になると、銃を背負った警備員達が自転車にのって街を行き来する。
皆は私のことを「Mama」と呼ぶ。これまでそんな風に呼ばれた経験がないだけに、何かくすぐったい。言葉の壁や文化の違いからくる誤解はしょっちゅう。休むときも電話がなく、突然来なくなる。本人や家族が病気になったと言われれば私が治療費を出したり、彼らの家で問題が起きたら、何かと面倒をみる必要が出てくる。彼らに不安そうな顔をして近づかれると、私の肩に自然と力が入ったりする。まるでいきなり大きな子供ができてしまったようだ。
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