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◆地球のどこかで 暮らしエッセイ
さまざまな国での暮らしを経験。 支援活動に奔走する毎日を送る武田さんです。
厚い壁
コンドーム会社の宣伝広告。街の看板は勿論、車のスペアータイヤのカバーにまで。
タンザニアの宗教は、イスラーム、キリスト教、伝統宗教、ヒンズー教でうちキリスト教徒は約25%を占める。キリスト教は大多数ではないが、村々を移動しているとよく教会を目にし、週末になるとどこからともなく、踊りだしたくなるようなリズミカルな聖歌が聞こえてきて、思わず踊りたくなる。その歌声は、タンザニアの風のように澄み、広い大地に響き渡る。 先日、ローマ教皇ヨハネ・パウロニ世が天に召された。教皇は1990年9月に、タンザニアを訪れている。その時教皇がスワヒリ語で行った演説が、テレビやラジオから何度も何度も流れてきた。世界の平和のために多大な尽力をされた教皇だが、カトリックの中では「保守派」と言われており、特に中絶や避妊に対しては反対の姿勢を崩すことはなかった。
エイズ撲滅運動の広告。皆が日頃手にするミネラルウォーターにも。
アフリカには、「何の病気?」って叫びたくなるほど、本当に色々な病気がある。その中でも大きな問題になっているのがエイズ。現在タンザニア国内のエイズ患者数は、総人口約3500万人中、約160万人。特に都市部では、成人の10%がエイズにかかっている。エイズが蔓延する要因としては、貧困、職業(売春、長距離トラックや出稼ぎ等)、宗教、そして母子感染などがあげられる。生活苦から逃れるために身を売ったり、中には、学校の先生が生徒を買うという現実もあるらしい。また、親から子へモラルを教える機会が減ったことで、性に関する意識が軽くなっているようだ。貧しさを克服するはずが、エイズにかかったことで治療や薬にお金がかかり、ますます生活が苦しくなっていく。その中で、この先特に心配されるのが母子感染だ。エイズ患者の数は、女性のほうが男性よりも1.5から2倍ぐらい多く、妊婦の約15%がHIVに感染している。仮に母子感染は免れたとしても、エイズで親を亡くした孤児がたくさんいる。この現状に対し、政府をはじめ、国際機関やNGO(非政府機関)がエイズ問題にかかわり、治療はもちろんのこと、防止にも力を注いでいる。街のあちらこちらにはエイズ関係のポスターが張られ、人々の関心を促したり、研修などを通してエイズに関する正しい知識を伝えている。
都市ダルエスサラームの夕陽。エイズの恐怖がなくなる日はいつくるか。
タンザニアの習慣や文化の違いにより、まだまだ壁はあるようだが、一日も早くこの病気で苦しむ人がいなくなることを願うばかりである。
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