●仲間同士の気楽な計画
今年、子どもが高校を卒業したことから、3年間携わったPTA役員も“卒業”。結構大変だったけど、さまざまな保護者や先生たちとの出会いもあり、それなりに人生勉強になった気がする。忙しい時間を割いて我が子の通う学校に足を運んだ親たちは、みんな真剣だったし元気だったから、とても楽しく交流できた。送別会では開放感もあってか話が盛り上がり、勢いとノリで、“子離れ間近の女3人で行く、PTA卒業記念の旅”の計画が決まってしまった。
事前に相談したのは、場所と日程だけ。高速バスで往復5千円で行けるお手軽なコースに魅かれ、軽井沢に出掛けることにした。行きのバスで2日間のプランを話し合うことに。行き当たりばったり、アバウトな旅だ。
春と梅雨の狭間だったが、晴天に恵まれ、ラッキーな滑り出し。乗り込んだバスの車内には、私たち3人を合わせても6人ほど。なんだかおしゃべりに花が咲いちゃって行程の話が進まない。「もう着いちゃうよ」ってことで、とりあえず食事の場所だけチェックし、無事到着。ホテルに荷物を預け身軽になると、お目当てのピザ屋さんに出掛けた。
ホテルを一歩出ると、そこはもう旧軽井沢の高級別荘地。涼やかな風と澄んだ空気とゆれる木々と小鳥のさえずり。心も体も解き放たれて、とっても気持ちがいい。
「歩くのってこんなに楽しかったっけ?」
苔むした広い庭とお洒落でリッチな別荘が道の左右に点在し、眺めているだけで時間を忘れてしまう。目指すお店は地元の人たちにも評判らしく、11時半の開店と同時に満員になっちゃうらしい。絶妙のタイミングで入店できた私たちは、待つこともなく美味しいピザを頂くことができた。ラッキー♪
いちいち会計を割り勘するのは面倒だねってことで、一人1万円ずつ出して袋に入れ、費用はそこから出すことにした。誰がその袋を持つかは、ちょっともめたけど(笑)
●のんびりした時間のなかで
初日は一日徒歩で移動することにした3人。「思い出に手作りローソクなんてどう?」と雑誌の紹介記事を拾いながら呟くと、「いいね!」とすぐに決定、ピザを消化させるべく、元気に歩いてローソク屋さんへ。
ローソク作りは、忘れかけていた創作意欲を思い起こさせる楽しい作業だった。それぞれに個性あふれる作品が仕上がったところで記念撮影。もちろんローソクだけ。
充実感もいっぱいになった私たちは、オゾンを全身に浴びながら、何の気なしに万平ホテルへと足を伸ばし、トイレ休憩と作戦会議をすると、旧軽銀座へ向かった。いい加減に歩くから、途中、森の中で迷子になって個人の別荘に入り込んじゃったりして(汗)。でも優しい地元のおじさんが親切に案内してくれた。偶然、室生犀星記念館の横を通り、当時のお家を見学して、さらに細い道を進み、ひょいっと通りに出ると、旧軽銀座のど真ん中にいた。
「わーっ。ここだよぉ」
オフシーズンだからか観光客も少なく、ゆったりとした空気が流れていた。ブラブラ、ユラユラ、フラフラと、誘われるままにお店に入っては眺め、通りに出てはのんびりと歩いて時間を過ごした。
「なんだか年齢と共に、鮮やかな色が着たくなってきたんだよね〜」
「このスカートどう? 似合うかなぁ」
「いいと思うよ〜。キレイな色だし。若々しいしさ!」
家族のことばかり気にしている日常から離れて、けして贅沢はしないのだけれど、自分のための買い物をする。そんなひとときが楽しいのだ。
お目当てのコーヒー屋さんで小休止。モカゼリーとモカアイスを頂き、我に返る(ふぅ〜)。
「今夜、何食べる?」
豪華なお店のディナーもいいけど、買出ししてお部屋で頂くお手軽ご飯も楽しいよねってことで、ひと通り廻って学習した旧軽銀座で、目を輝かせながら食材をチョイス。腸詰め、トマト、漬物、パン、さしみこんにゃく、お菓子、そして『軽井沢高原ビール』と地酒を買い込んだ。
帰り道。気持ちよさそうな道を選んで歩いていたら、またまた偶然、行ってみたかった雲馬池に遭遇。陽も沈みかけた誰もいないそこは、とても静かで幻想的な場所だった。
●女同士の旅の醍醐味
ホテルに帰ると、寝るベットを決めてお風呂へ。大浴場には露天風呂やサウナもあり、気分は極楽。ゆったり浸かった後、3人で手際よく“料理”を並べる。さすが機敏な動きで気が廻る母チーム。腸詰めを如何にしてボイルするかが大問題だったが、特大のカップ焼きそばを購入し、空いた容器に熱湯を入れてボイルした。なんだか、焼きそばがメインディッシュみたいになっちゃった。ま、いいか。そして、地ビールで乾杯!
「しみる〜っ」
初日は、何をするにも、ずっとしゃべっていた気がする。夫、子ども、仕事、親、家事、家計、学校、町内会、ペット……。生活のなかで女性が関わっているテーマは多い。様々なことが頭の中で廻っている。言葉にしたいことがいっぱいある。
関西から東京にお嫁に来て以来、ずっと主婦として家を守り2人の子どもを育ててきて、家族以外と旅行に出るのも初めてというIさん。専業主婦で、夫には一切家事をさせなかったけど、その夫が病気退職したことをきっかけに、家事の一部を夫に委ね働き出したYさん。そしてずっと働きながら子育てしてきた私。
子どもが高校を卒業し、ようやく自立し始めたころ、やっと母親は“自分”のほうを向き始めるのかもしれない。そんな“多感”な時代を迎えた私たちなのだ。
その夜は、女3人、ゆっくりと語り合った。
明日は朝からサイクリング。天気予報もバッチリだ。 |