
我が家では昔から、お正月などのお祝いには必ず家族が着物を着て集まるという習慣がありました。幼いころから着物を着ることは好きでしたが、日常的に着るようになったのは、やはりお茶の世界に入ってからです。
最初は、何から何まで母に着付けてもらっていましたが、今では自分で着付けています。着物を着るようになって15年以上経ちますが、まだまだその魅力に飽きることはありません。
着物がお好きな方は、皆さんそれぞれに自分流の着こなし術をお持ちだと思います。たとえば私の場合ですと、帯締めと帯揚げの色を合わせるようにしています。他にも、着物と同じ和柄の手さげを持つ、シックなお着物の時はかんざしを華やかにする、帯の結び方を工夫するなど、ちょっとしたこだわりを持つことで楽しみがぐんと広がります。
着物は昼夜を問わず正装になることが多いように思います。最近では、若い方が振り袖を着て結婚式に出席されるお姿を拝見しますが、主催側の方も正装で参加されたことをとても喜ばれます。また、お子さまの入学式や卒業式に保護者の方が着物で参列されたり、美術館やコンサートに着物で行かれるのも、日本女性らしくて素敵ですよね。
職業柄、いろいろなパーティーにご招待を受ける機会がありますが、私は必ず着物で伺うようにしています。着物を着ますと大人としての落ち着きも出て、大先輩ばかりのお茶の世界にも、気後れすることなく入っていけるような気がするからです。自分を律したいときなど、お着物の力も合わさって背筋がピンと伸び、自然に堂々と胸を張れるのです。
また、着物ですとおのずと立ち居振る舞いもしとやかになり、大人の女性としての品格も出てきます。着物で足を組んだり、大またで歩いたりはできないですからね。
着物を着ると、「汚してはいけない」という気持ちが自然と起こってきます。すると、食事の際に無意識に袂を押さえてお椀を持ったり、片手で行っていた動作を両方の手を添えて行うようになったりと、ちょっとした気遣いができるようになります。丁寧な動作は「物を大事にしよう」という意識につながるのです。その姿が、日本人独特の奥ゆかしさになるのだと思います。
外国の文化には食事のときにお皿を手で持つという習慣がありません。日本では手を使わず、お皿やお椀を持たずに食べることは、むしろ不作法と言われてきました。お箸を取るときも正式には両手を使います。これは、お椀とお箸の2つを同時に持ち上げてはいけないという作法があるからで、お着物を着ているとそうした気遣いがおのずとできます。日本の作法は、着物の文化から生まれたと言っても言いすぎではないかもしれません。
日本女性の魅力を最大限に引き出す着物。普段着にとまでは言いませんが、たまのお休みに、着物でウインドーショッピングやお散歩に出かけてみてください。きっと、いつもとは少し違った素敵な出会いが訪れるはずです。 |