
「マナーって難しい」。仕事柄、そうした声を耳にします。お弟子さんでさえ「お茶を点てる作法を覚えるのは大変です」と嘆かれます。初めから100%できる人はいません。だからこそお稽古をするわけで、一番大事なのは、おいしくお茶を入れようという気持ちです。
マナーも同じ。もちろん、お茶を出す時は両手を添えるなど、形や方法を覚えることも必要ですが、やはり相手を思う心がマナーの真髄ではないかと私は思います。
小さいお子さんがお茶を点てる場合、大人のように形に気を配る余裕はないですよね。でも、おいしいお茶を出そうとする気持ちは、おのずと周りに伝わります。
形ではなく、相手が喜んでくれることを願い、相手の立場に立った行動や気遣いが、マナーの基本です。
今の時代、自動販売機や自動改札、自動ドアなど機械化が進む中で、なかなか人とのかかわりが感じられにくくなっています。けれど、人は一人で生きているわけではありません。「一期一会」と言いますが、毎日を気持ちよく過ごすためにも、やはり周囲と良好な関係を築くことが大事ではないでしょうか。
「思いやり」なんて言葉を使うと、特に若い方などは重く感じるかもしれませんが、本当にちょっとした気遣いで、人間関係は劇的に変わります。
まず、あいさつから始めてみてはどうでしょう。それも一番身近な家族から。「おはよう」「おやすみ」「ありがとう」といった簡単なあいさつが、意外とできないものですよね。身近な相手にあいさつができれば、外でも自然とできるようになります。
毎日をスムーズに生きていくためにも、人と人とのかかわりは重要です。だからこそマナーが大切なのですが、先ほどもお話したように、難しいことをするのではなく、小さな気遣いができるかどうかがポイント。
マナーとは、自分の気持ちを相手に伝える“潤滑油”のようなものなのです。
マナーはお互いのものですが、ときには相手に心が通じないこともあります。ですが、どうか相手の反応を気にするのではなく、繰り返し実践する中で、あなた自身が美しく素敵な女性になっていくことを心に描いてください。
本来“気をつかう”ということは、とても良いエネルギーの使い方です。笑顔で接する、心を配る、思いをかけるといった行為からはプラスのエネルギーしか生まれません。
究極のところ、マナーとは自分の雰囲気や印象をさらによくし、心を磨くための方法だと思います。
誰に対しても気遣いができ、やさしさあふれる女性って、同性から見ても素敵ですよね。マナーの心を学びながら、一緒に素敵な女性を目指しましょう。
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