美しく生きる〜和を楽しむ13章〜

新春インタビュー 和の文化を楽しむ

Q.なぜ今「和」の文化が大切なのでしょうか。
A.日本では太古、「愛」という意味を表す言葉として「和」を使っていたと言われます。“大和の国”である日本は、大きな愛(和)の国です。しかし、現代の日本は、青少年犯罪が低年齢化する一方、幼児虐待などの事件が絶えず、愛の国とはとても言えない状況です。その背景に、日本人としての「核」が失われていることがあると思います。
混迷する現代社会の中で、私たちは今こそ、photo01和の文化を見直すことが大切です。日本の文化は、目に見えないものを大切にする精神性を養う文化です。こうした風土の中で、子供は、物を盗ったり、人を傷つけてはいけないことを、概念だけでなく、経験を通して学んでいくのです。

Q.「文化に触れる」というと、とかく時間やお金に余裕がないとできないという印象がありますが。
A.書道や華道、茶道や武道だけが和の文化ではありません。日常生活の随所に和の文化を取り入れることはできます。自然の恵みに感謝して食事をいただくのも和の心です。毎日毎日、花を一輪室内に飾ることで、和の空間が創出されます。その積み重ねによって美しいものを美しいと感じる心も育まれていきます。
私の息子が幼稚園の時、「プレゼント」と言って、昼顔を一輪入れた帽子を差し出したことがありました。「お母さん茶花になるでしょ?」と言うのです。いつも花一輪生けている私の姿を見て、彼の心にも一輪の美しい花が咲いたのです。
また、日本には「五節句」があります。photo021月7日は人日の節句、3月3日は上巳の節句、5月5日は端午の節句、7月7日は七夕の節句、9月9日は重陽の節句です。1月7日には七草粥を食べ、9月9日には菊の品評会が開かれます。とかく忙殺されがちな日々の生活の中で、ぜひ節句を大切にして頂きたいと思います。それが、私たちの身近な文化だと思います。

Q.文化を次の世代に伝えていくためにはどうしたらいいのでしょうか。
A.和の文化には日常生活の中で接する機会が多いですから、家庭での女性の役割は大きいと思います。自然の恵みに感謝して食事をいただきましょう。母親が感謝の心を持っていれば、子供たちも食べ物を残したり、器を乱雑に扱ったりしないはずです。
和の文化は、戦後の価値観で優先されてきた「結果」ではなく、「過程」を大切にし、そこから学ぶことに重点を置きます。例えば書道は、自分で墨をすることで心が落ち着き、呼吸が整います。柔らかい筆を使いこなすには、加減が必要です。そうした所作によって“手加減”を身につけていくのです。いつも硬筆で書いていると、芯の硬さが体を伝わって、心まで硬くなってしまいます。また、使い捨ての商品が氾濫している社会では、人の心まで使い捨てられてしまうのではと不安に駆られます。photo03心が硬くなりつつある現代にこそ、和の文化に込められた精神が大切なのです。そして、伝統を大切にしながらも、時代に合ったものをプラスして次代に伝え、何よりも、伝統文化を“楽しむ”姿勢が重要です。
今こその和の文化に親しみ、楽しんでいきましょう。

正冨るり子さんプロフィール

 

 

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