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夏の終わりの花火大会が終ると、少しずつ、秋が近づいてきます。夏の夜空に咲く大輪の美しい花たち。一瞬に花開き、キラキラと輝きながら散ってゆく美しさは、儚きがゆえに、人の心に残ります。
はなやかな夏の夜の花が花火なら、秋の花といえば、やはり菊ですね。
今は洋花のバラやカサブランカが一年じゅう花屋さんの花形で、菊はさびしそうな花だけに、スターにはなれそうにもありません。
しかし、おとなしい菊の花には高貴な香りがあり、古来、人々に愛されてきました。九月九日は重陽の節句、つまり菊の節供です。
菊の花を愛で、菊酒を飲んだり、菊枕で、ねむったりしたそうです。
菊の香りに人々の心をいやしてくれる働きがあるのを、先人たちは知恵としてちゃんと知っていて生活の中に取り入れていたのですね。
九月九日。陽数の九が重なる日であることから、それで重陽の節供と中国では言われてきました。三月三日、五月五日、七月七日は、家庭でも節供を祝うお飾りをしたりしますが、現代では、九月九日にとりたててお祝いする家庭はなぜか少ないようです。
子供中心の核家族が多い現代ですが、他の節供のように子供たちにあまり関連しない節供だからかも知れません。
この日は、長寿を祝い祝い、厄災をはらい、実りの月であるところから九日に収穫の祝いや秋の祭りを行う地方も多いのです。
さて、今年は、菊の節供をあなたも演出してみませんか。
古来のしきたりに習い、九月九日には菊の花を買い求めて自分流で菊盛りの花を生け、家族の健康を祝う一日とするのも楽しいでしょう。
お風呂に菊の花びらを浮かべて、ゆったりと心をリラックスさせましょう。そして、菊の香りにつつまれて涼やかな秋の夜の夢をみましょう。
あらたまって菊の花を生けていると、子供たちも部屋が落ち着いていることをきっと感じてくれます。
あなたのセンスで、地味でおとなしい菊の花もきっとすてきに演出できます。
よく女性を花にたとえますが、菊の花にたとえられる人が、今はほんとうに少なくなりました。目立たないけれど、ほのかな高貴な香りで、あたりをつつんでくれるそんな品格をそなえた女性にめぐりあうと、同じ女性から見てもとても魅力的で、しかもシットに似たものさえ感じるのはなぜでしょう。やはり、現代の女性が忘れてしまっている「和」の香りがするからではないでしょうか。
今は、まるで死語になったかのような奥ゆかしいという言葉、それに、さらに「女性」がついた”奥ゆかしい女性”を捜し出すのは、砂浜でダイヤを見つけることほどむつかしいかもしれません。
菊の花のように奥ゆかしい女性……一年に一度の菊の節供の日ぐらいは、ちょっぴり奥ゆかしい日本の女性を演じてみましょう。
いつもと違う、美しい日本女性に変身できると思います。
秋の日の 美しき女(ひと) 菊の香(か)に
ゆかしき姿 涼(すず)やかにみつ
和遊主宰・正冨るり子 |