美しく生きるエッセイ
◆春のおとずれ(桃の節句でおもてなし)
◆桜を思う
◆夢を紡ぐ
◆内に秘めた美しさ
◆星に願いを……
◆迎え火、送り火
◆菊の香り
◆名残り月
◆残照
◆時を紡いで
◆お愛(め)でとう 新しい年よ!
◆忙中閑
◆一期一会

茶道ちょっと知識

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美しく生きる〜和を楽しむ13章〜

星に願いを……

あじさいの花が、日一日と色を変えてゆく姿は、まるで女の子が段々と美しい女性になるようでうっとりとしてしまいます。
梅雨の季節も、大切な恵みの雨をこの日本の大地にふらせ、稲や野菜、そして木々を育ててくれます。そして、私たちの糧になり、心を和ませる美しい緑を与えてくれます。
文化とは、人が自然と美しく調和する知恵と教養を言います。生活の中で、雨の季節も雪の季節も、太陽ふりそゝぐ暑い季節も、上手に自然をとりいれて楽しんでみましょう。
七月七日は七夕さま。この日は、やはり願いごとを短冊に書いて笹の葉にかざりたいですね。いつもはボールペンやシャープペンシルで書く文字も、七夕の日だけは、硯箱を出して、ぜひ筆で書いてみて下さい。日本の文化を忘れないためにも……。
字は上手下手ではありません。結果ではなく、プロセスを大切にしましょう。
だから、墨汁ではなく、自分の手で墨をすってみて下さい。静かに墨をする間に、呼吸が整い、心が落ち着いてきますよ。面倒がらずに……ね。
水の一滴から自分ですった墨の一滴は、きっと無駄にできなくなるはずです。
そして、一年に一度、心をこめて星に願いごとを頼んでみましょう。

人が、自然に向かって手を合わせたり、秘そかな願いごとのために、ひたすら祈っている姿は美しいものです。ほんの少し、ロマンの心を忍ばせながらむかえる七夕の夜は、きっと、いつもよりずっと星が美しく輝いて見えることでしょう。
七夕さまは、元来、奈良時代に中国から伝わった二星の恋物語であり、色々な逸話からの伝説もあります。
江戸時代、子供達は字が上手になるようにと願い、また女の子は特にお裁縫などの技芸の上達を祈りました。
このように、五節句などは大陸文化の影響も大きいのですが、日本人は自分達の豊かな感性で、すばらしい文化をこの日本の地に花開かせました。
私たちの祖先たちの知恵を、教養を、敬い感謝すると共に、星に願いをこめて、葉に溜まった夜露を硯箱へそっとひとしずく注いでみましょう。
そして、筆を持ってみてください。それだけで、いつものあなたとは違います。澄み渡った夜空のように、とっても心が清々しくなるはずです。
今夜も、星のようにキラッと輝く美しいあなたでいるために、教養と知性の泉をあなたの内に忍ばせて下さい。
一年じゅう変化のない日常だと思っていても、ちょっと和の文化に心を傾けるだけで、きのうと違う豊かな今日が果てしなく広がってくるはずです。そして七夕さまの夜は、家族そろって藍染のゆかたなど着て、心やさしくなってください。

うち曇る空のいづこに星の恋     杉田久女

和遊主宰・正冨るり子

 

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