
戦争や自然災害で、受けられるはずの教育の機会を奪われた子どもたちに、少しでも多くの学びの機会を提供しようと、学校建設をはじめ、音楽・美術などを通した情操教育にも取り組んでいる特定非営利活動法人JHP・学校をつくる会(以下・JHP)。その活動のひとつに、カンボジアの子どもたちに鍵盤ハーモニカをおくる活動があります。今回は、その一環である楽器掃除ボランティアに参加させていただきました。
特定非営利活動法人 JHP・学校をつくる会
●楽器お掃除し隊!
オリエンテーションでしっかりと意識が高まった私は、気合いっぱいに楽器清掃ボランティアに参加した。自分の都合のいい時間に参加できるというのが嬉しい。今回、私のほかに、3人の大学生が参加していた。すでに8月のカンボジア派遣への参加が決定しているというから感心してしまう。
4人が通された部屋には、100台ほどの鍵盤ハーモニカがメーカーごとに分けられ、さらに機種別に置かれていた。この下準備をするだけでも大変だろうと思った。私たちはそれらを一台一台チェックし、磨いていくのが仕事だ。
まずはきちんと音が出るかすべての音を鳴らしてみる。卓奏用パイプの吹き口に咬み跡があったり、明らかに汚れているものもは、用意してある新しいものと取り替える。
そしてチェックした楽器を、一台一台掃除する。研磨剤入りのスポンジに軽く水を付けて、目だった汚れを取りながら、ひたすら磨いていく作業だ。鍵盤にシールが貼られていたり、マジック跡もできるかぎり取り去る。最後に、キレイになった楽器にJHPのロゴマークのシールを貼り、完成となる。
とても根気の要る作業だったが、みんな黙々と取り組んでいた。彼らの率先して作業に取り組む姿勢は素晴らしいものだった。この経験は将来どんな道に進もうと絶対に生かされていくものだと思う。そして、JHPのスタッフの人たちと若いボランティアさんたちが、一丸となってイキイキと楽しく活動する姿に、私は思わず引き込まれてしまった。
●生かされている楽器たち
JHPでは以前、日本人教師の派遣を行っていたが、現在は、現地でのカンボジア人の音楽教師の養成に力を注いでいる。トレーニングを終了した教師は、日本からおくられてきた楽器を携えて学校に戻り、音楽教師として指導にあたる。そしてそれぞれの地域のインストラクターとして、音楽教育の担い手となるのだ。カンボジアにおいて「音楽」が正規科目になることを目指して、音楽教師の育成に励んでいるのだという。
作業の合間の休憩時に見せてもらったビデオでは、日本からカンボジアへおくられた楽器によって、マーチングバンドが結成されていく学校の様子を観ることができた。地道に練習を重ね、上達していく様子に、子どもたちの秘めた可能性を感じ、心が揺さぶられる思いがした。<この子どもたちのために>という思いがこみ上げ、少々手が疲れても<まだまだ頑張れるぞ!>と気合が入った。
午後2時からの作業だったが、気がついたら5時間が経過していた。梱包を終えると、疲れどころか喜びでいっぱいになっていた。
JHPでは、学生ボランティアをはじめ、積極的に活動できる若い世代の人たちの育成にも力を注いでいるという。3月隊と8月隊に分かれて年2回実施されるカンボジアへのボランティア派遣では、学校のブランコ造りに汗を流す。「顔の見える国際協力」ということで、毎年多数の応募があるそうだ。
●支援物資に真心を込めて
JHPでは、年間2000台を目標に、鍵盤ハーモニカの寄付を募っている(新品でなくても大丈夫! お掃除隊がキレイに磨きますから)。自宅の押入れに眠ってる楽器があったら、ぜひ提供してほしいと思う。
国内のJHPの事務所には、日本全国からさまざまな支援物資が送られてくるという。恵まれない子どもたちのために――という真心からのご支援である。
鍵盤ハーモニカ以外にも、くれパス・クレヨン・絵の具・鉛筆(HB・B)・消しゴム(白のみ)・色鉛筆・大学ノート(低学年用のマス目入りは不可)・おり紙・画用紙などを募っている。ただし、これらすべて未使用のものに限っているという。
<使用済みであっても、使えれば十分では?>と思われる方もいるかもしれないし、実際、使用済みのものが送られてくる現状もあるという。もし、これから何かを支援したいという方がいたら、少し考えてみてほしい。席が隣同士の友達が、一方は使いかけの鉛筆を受け取り、もう一人は新品の鉛筆をもらったとしたら、どんな気持ちになるだろう。
支援は役立たないと意味がない。一方的な思いだけでは本当の支援にはならない――そんな大切なことも教えていただいた。
取材をした2007年6月は、東京・六本木にあるJHP事務所の移転準備が行なわれていて、引越し当日には私もお手伝いをさせていただいた。朝早くから学生や一般のボランティアが集まり、皆で荷物の搬送作業を行なった。今後は、港区浜松町にオフィスを移し活動を行うという。また、神奈川県鶴見区に倉庫を借りて、そこに全国の方々から送られてくる支援物資を保管することになった。
「楽器お掃除し隊」は随時募集している。少しの時間でもいい、参加してみてはどうだろうか。小さな力の結集によって、大きな事業の実現を目指す人たちの志にふれることは、とても貴重な経験だと思う。きっと、清々しい充実感や達成感を味わえあるはずだ。
(スタッフ・マサ)
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