
戦争や自然災害で、受けられるはずの教育の機会を奪われた子どもたちに、少しでも多くの学びの機会を提供しようと、学校建設をはじめ、音楽・美術などを通した情操教育にも取り組んでいる特定非営利活動法人JHP・学校をつくる会(以下・JHP)。その活動のひとつに、カンボジアの子どもたちに鍵盤ハーモニカをおくる活動があります。今回は、その一環である楽器掃除ボランティアに参加させていただきました。
特定非営利活動法人 JHP・学校をつくる会
●なぜカンボジアへの支援なのか
実際にボランティアを行なう前に、初めての人を対象にしたオリエンテーションに参加した。このオリエンテーションは毎月2回開催されていて、基本的なJHPの活動の説明や、カンボジアの状況、現地の活動の様子などを、映像を交えながら詳しく説明を受けることができる。
1970年代の内戦などによって多くの犠牲者を出したカンボジア。当時から現地での支援活動を続けているJHPは、多くの教師の命が失われ、たくさんの学校が破壊されてしまったカンボジアの教育環境を改善するために、学校建設を中心とした教育支援を継続的に行なっているという。
しかし、年間に20棟から25棟ほどの学校があらたに建設されているにもかかわらず、いまだ学校が足りない状況が続いているというのだ。一日の授業を、2部制、3部制で行なっている地域も少なくないため、一人あたりの授業時間が足りず、教育達成度も低いままだという。他にも、学校の老朽化や教師の不足、トイレや飲料水といった衛生問題などで、教育環境の改善を必要とする地域が多く存在している。
●JHPの学校建設支援
カンボジアには、勉強したくてもできない子どもたちが大勢いることを、あらためて知らされたオリエンテーションだったが、長年にわたるJHPの活動の様子を伺いながら、これから参加する活動への意識が一層高まった。お話を通して、一棟の校舎を建設する過程の苦労や努力が肌で感じられたからだ。
JHPの中心的な活動である学校建設は、現地の地域住民の参加協力を呼びかけ、日本のスタッフとカンボジアの人々との友好関係のもとに活動を行なっているという。
学校建設を切望している多くの地域のなかから、現地スタッフが慎重に調査し、緊急性や必要性を考慮しながら十分に検討したうえで建設地を決める。できるだけ長期間使用できるように丈夫な校舎を建築するため、一棟あたりの学校建設には400万円から600万円の費用が必要になるという。
建設される校舎の通路には、スロープが設置される。いまだにたくさんの地雷が埋められているカンボジアでは、危険標識はあるが、字が読めない子どもも多く、被害に遭う子どもたちも少なくない。障害のある子どもたちの教育支援のための配慮も重要だ。
また、飲料水やトイレのない学校には、校舎と同時に井戸やトイレを設置し、開校後には衛生指導にも力を注ぐという。
そして、多くの人の真心によって建設された校舎の壁には、寄金に参加された方々の名前が、学校名と共に刻まれるという。現地の様子を紹介する映像には、新しい校舎で勉強している笑顔の子どもたちが映っていて、私まで嬉しい気持ちになった。
JHPでは、学生ボランティアをはじめ、積極的に活動できる若い世代の人たちの育成にも力を注いでいるという。3月隊と8月隊に分かれて年2回実施されるカンボジアへのボランティア派遣では、学校のブランコ造りに汗を流す。「顔の見える国際協力」ということで、毎年多数の応募があるそうだ。
●願いを持って
私がJHPの活動に興味を持ったのは、情操教育を率先して行なっているというところ。校舎を建設するだけに留まらず、子どもたちの心を育てるための支援として、音楽や美術教育に力を注いでいるのだ。
私自身、小さい頃から絵を描くことが好きで、模造紙いっぱいにたくさん絵を描いた記憶は鮮明に残っている。小学生からマーチングを、中学から高校にかけては吹奏楽と出合い、夢中になった。厳しい練習に涙を流す日もあったけれど、練習した分だけいい音になって返ってくるのが嬉かった。そして合奏での、周りの音を聴いて心を一つにする感覚がとても心地よかった。社会に出ても、当時培った忍耐力や根性みたいなものが生かされていると感じる。
子ども時代に芸術に親しむことは、とても大切だと思う。カンボジアの子どもたちも芸術にふれながら、創造する喜びを感じ、豊かな心を育くんでいってほしいと思う。
私のほかにもう一名、女子短大生がオリエンテーションに参加していた。<今の自分に何かできることはないか>という思いからだという。一人で足を運ぶ行動力と積極性が素晴らしいなと感じた。私が彼女と同じ歳のころにそんな意欲はなかったと思う。
でも、<何か人の役に立ちたい>と思い実行することに年齢制限はない。いくつになっても、そう思えた自分が嬉しいし、そう感じる心が大事なんだとあらためて思う。一人ひとりの力は小さくても、たくさんの思いが集まれば大きな力となって、学校だって建てることができるのだ。
(スタッフ・マサ)
|