
新潟県十日町市池谷・入山地区。棚田が点在し、ブナ林が美しい山間のこの村は、新潟中越地震の被害を受け、6世帯のみが残る高齢化・過疎化が深刻な地域です。その村が、震災復興支援での出会いを通して、地域住人主体の「十日町市地域おこし実行委員会」を結成し、あらたな取り組みにチャレンジしています。その池谷・入山地区にFOO.スタッフが農作業や除雪ボランティアで訪れて地域おこしの取り組みと関わりながら、何ができるかを考えます。
十日町地域おこし実行委員会 ブログ
JEN公式ブログ 新潟支援情報
●幻?のキノコを求めて
特定非営利活動法人ジェン(JEN)が主催する、2007年の第2回除雪ボランティア「スノーバスターズ」は、記録的な暖冬で雪が少ない状況だったが、地域おこしの一環として、除雪以外のプログラムを組み込んで実施されることになった。
地元のお父さんたちの提案で、本来ならこの時期分け入ることのできないブナ林に、キノコを探しに出掛けることになった。“かんじき”を履いて歩く雪山体験だ。地元の人たちもこの時期にブナ林に入ることは滅多にない。私たちは、橋場さんや津倉さんのお父さんたちに案内されながら、慣れないかんじきと格闘しつつブナ林へと向かった。
小雪とはいえ、農道に一歩踏み込めば雪も深く、あたり一面雪景色だ。かんじきがなければ、腿まで埋まってしまい歩くことはできない。ボランティアたちは皆、黙々と歩く。
ブナ林の入り口あたりに来ると、「おい、あそこに生えとるぞ」と、津倉のお父さん。
「えー、どこですかぁ」
指の指す方向を見上げると、どっしりした太い木の高いところに、立派なヒラタケが生えていた。橋場のお父さんが持ってきたナタで即席の“キノコ落とし棒”を作り、キノコの根本からつついて落とす。
「でっかいですねぇ」と感動するボランティアたち。ほんとにでっかいヒラタケだ。
結局、思いもかげず大量のヒラタケを収穫することができた。
午後は、ボランティアの拠点となっている“やまのまなびや”(廃校になった分校を修繕したボランティアセンター)の周辺の除雪を行なった。“スノーダンプ”という除雪道具の使い方の練習程度の軽い作業だったが、汗だくになりながら必死で雪を掘った。除雪作業の大変さを、少しだけ肌で感じることができた。
村の集会場では、十日町地域おこし実行委員会の代表を務める山本さんが、池谷・入山のこれまでの取り組みを説明してくださった。パソコンで見せてもらった写真を通して、これまでの活動をさらに身近に感じることができた。
●池谷の人々の優しさにふれて
ホームステイということで、私を含め女性4名は、橋場さんのお宅にお世話になり、翌々日の朝食まで、毎食、お母さんの手料理をいただくことができた。朝は囲炉裏を囲んで、お餅を焼きながらの朝食。コタツを囲んでいただいたお昼の熱々おでん。そして夕食は、津倉さんご夫婦とJENスタッフや男性たちも一緒に、地酒「天神囃子」の熱燗をいただきながら、たくさんお話ができた。手作りのへきそばは、なんともいえない歯ごたえで、するするといただいてしまった。もちろん収穫されたヒラタケの料理も並んだ。至福のひとときとは、まさにこのことだと感じる。
小雪で作業がなかった分、ゆったりとした会話ができたことが幸いだった。何度かの食事をいただきながら、お父さんやお母さんたちのさまざまなお話を伺うなかで、雪国の冬の暮らしを垣間見ることができた気がする。
春から秋にかけては、農作業やさまざまなことでとても忙しいから、雪の深いこの冬の間に、ゆっくりと体を休めてその時に備えるという。収穫された作物はしっかりと保存され、冬場の生活を支えている。雪に閉ざされて身動きができなくなっても、暮らしていけるだけの準備はしっかりとされているのだ。
村のお父さんたちは皆幼なじみ。お嫁にきたお母さんたちも大の仲良しなのは、会話をきいているとすぐにわかる。皆がコタツを囲むと自然と話が弾む。
橋場さんのお婆ちゃんが当時の“お産婆さん”で、村人は皆そのお婆ちゃんに取り上げてもらった話や、分校に赴任してくる先生はいつも男女二人だけだったから、ほとんどが結婚することになる話や、学校をさぼってブナ林で遊んでいた話など、のどかな農村の暮らしぶりが伝わってきて、時間の経つのを忘れてしまう。
●待ち遠しい春
池谷の人たちは、皆が「十日町市地域おこし実行委員会」のメンバーだ。冬の動けない時期にじっくりと話し合おうと、市の職員も交えた会合を幾度となく行なっている。
「農業なんて2、3年でどうにもなるもんじぇねえ。自然が相手なんだから、そりゃ大変だよ。でもそれだけに奥が深いんだ」
将来の池谷・入山を語るお父さんたちの目は真剣だ。
委員会をまとめる山本さんは、村の人たちの積極的な発言や行動に驚かされることが多々あり、それが楽しく、元気の源になっているという。
今は静かな池谷・入山地区だが、雪どけがおわり春がやってくると、また大勢のボランティアたちが、この地にやってくるだろう。そして、常にあらたな計画を試みながら、新しい宝が発見され、そのたびに笑顔の数が増えていくはずだ。
日本の各地で里山が消えている。訪れた人たちが、空気と土と水と人にふれながら、こんなにも癒されているのに、時代の流れに任せて失ってしまっていいのだろうか。
一方で、日本の豊かな暮らしを守ろうという志を持った全国の人たちが、さまざまな活動を続けていることも確かだ。一人ひとりの気づき、地域や行政の気づき、企業の気づき、それらが積み重なって大きな力となってゆくのだと思う。
<春になったら、新緑のブナ林に合いにいきたいな>
また、伺います。ありがとうございました。
(スタッフ・まー)
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