
社団法人シャンティ国際ボランティア会(SVA)にお邪魔して、「絵本を届ける運動」に参加しました。日本語の絵本に、カンボジア・ラオスの言語に翻訳された文を貼り付け、現地の子ども達に届ける活動です。日常生活の中で気軽にできるボランティアに楽しみながら取り組みました。
社団法人シャンティ国際ボランティア会(SVA)に
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●絵本を手にしたことのない子ども達がいる
前回の「BOOK MAGIC」で、日常生活の中で気軽にできるボランティアの楽しさ、重要性を実感した私は、さっそく他にも同様なボランティアがないか探したところ、SVAが主催している「絵本を届ける運動」に出合った。私がこの運動に魅かれた一番の理由は、自分が幼いころに読んだ思い出の絵本が、遠いカンボジア・ラオスの子どもたちを喜ばせ、教育に役立てられると知ったからだ。
本来は自宅で気軽にできるボランティアだが、今回私は、スタッフの方から直接この運動の主旨についてのお話をうかがいたくて、SVAの事務所を訪問させてもらった。
SVAでは、1980年にタイのカンボジア難民キャンプで、心に深い傷を負った子どもたちに絵本の読み聞かせを行った。絵本の世界に入り込む子どもたちの姿にふれ、絵本は子どもたちの乾いた心を癒し、難民キャンプの生活の中に一筋の光をもたらすことを確信したことをきっかけに、図書館活動や読み聞かせなど、絵本をとおしての教育支援活動を続けてきている。
カンボジアでは、1975年から4年間続いたポル・ポトの恐怖政治により、大量の知識人が命を落とした。この時代、25000人いた教師は5000人まで減ってしまったといわれているという。その後も1991年まで内戦が続き、現在も学校、教師、教科書、教材の不足は深刻な問題となっている。
一方ラオスでは、1975年から1989年まで鎖国状態に近い計画経済体制がとられていた。地方にいくにつれ、学校の数も教員の数も減り、厳しい教育環境にあるという。現在、学校の図書室を含めて図書館が100か所ほどしかない。また、作家は国内に50人ほどしかおらず、子ども向けの本を書く作家はほとんどいない。
両国共に子ども向けの本が不足しており、絵本を手にしたことのない子どもたちが大勢いるという。一人でも多くの子どもたちが絵本を手にすることを願い、1999年からスタートしたのがこの「絵本を届ける運動」だ。
日本でも、絵本の読み聞かせは大切なこととされている。しかし話を聞いていて、カンボジア・ラオスでは子どもの教育において、その大切さが日本とは比較にならないほど重要なものだと感じた。現地では、まだまだ文字の読めない、学校に行けない子ども達がたくさんいる。絵本の読み聞かせや絵をとおして、お話を楽しむだけではなく、自分たちの国や地域について、また生活していくうえでの必要な知識を得るためのツールになっているのだ。
●1冊の絵本に願いを込めて
1冊の絵本が心を豊かにし、生きていくために必要な知識が得られる第一歩になるのかと思うと、実際に絵本に翻訳文を貼る作業を前に、気持ちが引き締まった。
翻訳文を貼る絵本は、50冊あるリストの中から自分で選ぶことができる。実際には参加申し込みをして、約2週間で絵本セットが届く。到着後、2週間以内に参加費2000円を振り込み、翻訳文を貼り付けた絵本をSVA事務所に返送する。毎年2月の船便で、カンボジア・ラオスへ絵本が届けられ、現地の学校教材や移動図書館活動で役立てられる。
今回私は、幼いころに読んだ思い出の絵本『はじめてのおつかい』(福音館書店)にクメール語(カンボジア)の訳文を貼り付けることになった。シールを貼る前に、絵本を楽しむ。いつもこの絵本を読むと、自分がはじめておつかいをしたときのドキドキ感が思い出される。
<現地の子どもたちは、この絵本をどんな顔して読むんだろう>。現地の子ども達の情景を思い描きながらの作業はとても楽しかった。
絵本のリストを見ていると、<私もこの絵本読みたいな。これも子どもたちに読んでもらいたい>という思いがふくらむ。と同時に、楽しみながら支援ができるこのボランティアを、もっと大勢の人が取り組むことによって、1冊でも多くの絵本が届けられ、子ども達に喜んでもらえるのではと感じた。
最近では、小学校の授業や企業の社会貢献活動としても実施されているという。私も自分だけが取り組むのではなく、友人にも声をかけ、一緒に取り組みたいと思う。
SVAの活動は、絵本を届けるだけではない。現地の学校の先生を対象に、絵本の読み聞かせや本の管理などの指導やモニタリングを行うことで、教師の資質の向上を図っている。また、それぞれの国や地域に伝わる民話を聞き取りし絵本を出版するなど、現地の人たちの自立支援も行っている。毎月2000円で、そうした活動をサポートする「チャイルド・ブック・サポーター」というボランティアもあるそうだ。
自分が実際に現地へ行けたとしても、できることは限られている。しかし、現地のニーズをきちんと把握し、しっかりと自立支援をサポートしているNPO団体やボランティア団体と協力することで、日本にいながらにしてお役に立てることはたくさんあることを学んだ。
誰かのために役に立てたと実感できたとき、どれだけ自分が恵まれているのかに気づき、感謝することがでる。これからもこうしたボランティア活動を自分のライフワークとして、少しずつ取り組んでいきたいと思う。
(スタッフ・ソンミ)
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