震災の傷痕がいまだ消えない新潟県十日町市の山村では、高齢化・過疎化が深刻です。人手不足の為に満足に雪下ろしや農道・棚田の復旧作業もできず、さらに人離れが進んでいます。
今回は、震災復興支援から村興しを視野に入れた長期的サポートを行なっている特定非営利活動法人ジェン(JEN)が、「十日町市地域おこし実行委員会」と協力し実施している、池谷・入山地区の「農作業ボランティア」に参加させていただきました。
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●山間の分校が活動の拠点
ボランティアの拠点となる池谷分校の修繕から始まったこのプロジェクトは、今年で2年目。地元の民間団体「十日町市地域おこし実行委員会」の協力の下、地道に続けられている活動だ。これまでに150人近い人たちが全国から参加している。
今年4回目の実施となる今回のボランティア。十日町駅で集合し、実行委員長の山本浩史さんに案内され、池谷集落へと向かう。途中、真っ暗な山道に車を停車すると、ハザードランプに誘われて、無数の蛍が集まってきた。しばし眼前の光景に見惚れてしまう。
幻想的な出迎えを受け向かった先は、20年前に廃校になった池谷分校。JENと実行委員会の手で修繕された小学校は「やまのまなびや」と名付けられ、活動の拠点として新たな役割を担っている。
池谷・入山地区の自然は豊かだ。二階の教室の窓から見える山間の棚田、曲がりくねった農道。校庭の池で気持ちよさそうに泳ぐおたまじゃくしやサンショウウオ。澄んだ空気。降りしきる雨。すべてが心地いい。
宿泊場所となる教室の、カビないように上げられていた畳を敷き直し、いよいよ3泊4日の農作業ボランティアが始まる。
●棚田を守っている雑草の根
山間にある池谷・入山地区は、いたるところに棚田が広がるのどかな農村地帯。美味しい空気と水から作られる魚沼地域のこしひかりは、地元の人たちが代々引き継いできた自慢の産物だ。
もともとこれらの地区には入山に15世帯、池谷に37世帯もの農家が点在していた。しかし、徐々に過疎化が進み、入山地区に住む人はなくなり、池谷地区も6世帯が残るのみ。そして、平均年齢も65歳を超えている。
農作業には迷惑な存在の雑草だが、地中に張りめぐらされている根は、実は、棚田が地崩れしないよう守ってくれている。もし、除草剤を使い、雑草を根こそぎ駆除してしまったら、土が流され、たちまち棚田が崩れてしまう。それに、栄養豊かな湧き水を除草剤で汚染させることは、絶対に避けなければならない。
あえて薬を使わず、雑草の根を残し、延びた草をその都度刈っていくことが、棚田を守り、豊かな水を守り、美味しい米を作るために、欠かせないことなのだ。
しかし、広大な土地に広がる棚田や農道の草を刈るのは、高齢化した池谷地区の住人にとっては、決して楽な作業ではない。
農作業が一段落したこの時期、私たちボランティアの重要な任務は、“ひたすら草を刈る”ことだ。
●雨の中の草刈り作業
初日から雨模様。もちろん作業は雨天でも決行だ。
雨具で身を包んだ男女12人のボランティアたちは、当然のことながら素人集団。ほとんどの人が草刈り機なんて触ったこともない。校庭に集まり、山本さんの指導を受けながら、恐る恐る練習する。
参加者はさまざま。職場の掲示板で知り応募した女性。現役をリタイアした熟年男性。就職が決まった大学4年のグループ。前回参加し魅せられてしまったリピーター。そして、忙しく働きながらも幾度となく参加しているベテランボランティアたち。
今回はなぜか9名も女性が参加していた。“若いもん”には負けられないとばかりに、私も雨具に身を包み、軽トラックの荷台に乗り込む。いざ、雨の中へ出陣!
初めて握った草刈り機は、まるでエンジンのかかったバイクのよう。ブルブルと唸り、円形の刃が鋭い音を立て回転する。
一度エンジンをかけると休む暇はない。轟音を立てながら農道の脇の草を刈っていく。地面スレスレに草刈り機を這わせながら、ひたすら道に沿って進んでいくのだ。
ときどき、道沿いに生えるミョウガの群生に遭遇する。「ここは刈るな!」という指示に従い注意して避けているのだが、勢いあまってザクッと刈ってしまう。まだミョウガの収穫には早いが、無事にツボミが顔を出すことを願いながら前進する。
草刈り機のエンジンの音は、人の声をかき消してしまう。しかし、太い枝も一瞬で切ってしまう鋭い刃はとても危険だ。周囲に注意を払いながら、慎重に作業しなくてはならない。山本さんやベテランのボランティアが、鋭い視線で私たちの作業を見守っている。
復興を成功させるためにも、絶対に事故を起こしてはならない。
(スタッフ・まー)
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