◆生き方ファイル スペシャル
現在ケニアで暮らす戸倉さんは、長年、HIV・AIDSボランティアに携わってきました。 現地の孤児院でHIV感染孤児とふれあいながら、あらためてHIV・AIDSとの関わり方を考えます。
AIDSキルトに寄せられたメッセージ (写真提供・マツバラヒロコ)
結婚して5年が経ちます。交際中そして結婚してからも、夫とはいろんな話をします。もちろんAIDSやセックスについても。 結婚を決めた時、私からお願いして二人でHIVの検査を受けに行きました。 「もしどちらかがHIVに感染していたらどうする?」 私は彼が感染していても結婚を止めるつもりはありませんでしたが、彼の答えは「わからない」というものでした。私はボランティア活動を通して、実際に感染者のカップルを知っていましたが、知らない人にとっては感染者の日常生活についてイメージするのは難しいのかもしれません。 AIDSは難病の一つですが、予防可能な感染症で、日常生活では感染しないし、簡単ではないけれど子供を持つことだってできます。だけど、相手がHIVに感染していたら、交際や結婚をためらう人はきっといるでしょう。 AIDSが他の難病や感染症と大きく違うことは、差別・偏見があることです。また血液製剤や輸血はかわいそうだけど、セックスや麻薬注射の回し打ちが原因の場合は、自業自得だと言う意見もあります。風邪だって本人の不摂生が原因とも言えるし、肺がんならタバコを吸うのが悪いという風にどんな病気も自業自得と言ってしまうことができます。そうした考えも差別や偏見を生みます。差別や偏見があるから、感染していた時のことが怖い、だから検査に行くのをためらい、水面下で感染が拡大していきます。
AIDSとの共生を目指して (写真提供:マツバラヒロコ)
現在、最も多い感染原因はセックスによるものです。心も身体も充たされるセックスができたら、それはとても素敵なことです。しかし、その一方で、セックスをするということは、HIVや性病の感染、妊娠の可能性などリスクもあります。特に女性は自分の身体は自分で守るしかありません。「彼のことを愛しているし信じているから」、「真面目で遊んでいなさそうだから」、「彼が嫌がるから」、「自分が遊んでいると思われるから」という理由で、男性がコンドームを付けることを嫌がっている場合、自分からコンドームを付けてほしいと言えず、男性の言うがままにセックスをする女性は意外に多いのではないでしょうか? 愛があっても、信頼できても、遊んでいてもいなくても、感染者とコンドームなしのセックスをすればHIVや性病に感染する可能性があり、感染しているかどうかは検査でなければわかりません。 信頼関係とは、相手を信じることだけでなく、自分の意見をきちんと伝え、自分自身も相手の話に耳を傾け、意見が違ったとしても話し合いができる関係だと思います。本当に愛情と信頼関係があれば、HIV、性病そして妊娠が心配な時は、コンドームをつけたセーファーセックスをし、検査にも一緒に行けるし、HIV感染が原因で二人の関係は終ったりはしないでしょう。セックスの内容に不満があれば、お互いにリクエストを言い合い工夫することだってできます。そうしてくれない男性だとしたら、いくら大好きであっても二人の関係を見詰め直す勇気も必要です。
HIV感染予防はコンドームを使ったセーファーセックス
二人で話をし、検査に行ったとしても、その後相手が自分以外の人とセックスをし、それが原因でHIVや性病に感染するかもしれません。もしかしたらと、疑いだしたらきりがありませんが、そうしたことも最終的には、二人の信頼関係に頼るしかないのでしょう。
AIDSという病気は自分自身、そして自分の人間関係を写す鏡のように思えます。私自身、AIDSのことで悩みましたが、同時にAIDSを通して大切な人たちに出会うことができ、そして人生において大切なことを知ることができたような気がします。
*HIV・AIDSに関する詳しい情報は以下のサイトをご覧ください HIVと人権・情報センター http://www.npo-jhc.com ぷれいす東京 http://www.ptokyo.com/ HIV検査・相談マップ http://www.hivkensa.com/index.html
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