◆ケニアの孤児院で
ボランティア

◆AIDSノイローゼ
◆血友病患者との出会い
◆愛について
◆自身が癒された貴重な体験
◆セックスについて

戸倉由紀枝
会社員を経て、HIV・AIDSに関するボランティア団体で3年間ボランティア活動に参加。引き続き専従スタッフとして電話相談や感染者へのケア・サポートなどを行なう。その後、旧ユーゴスラビア、ルワンダ、カンボジア、東京で国際協力NGOに勤務。2006年10月より夫の勤務先であるケニア・ナイロビに在住。

◆生き方ファイル
スペシャル

自分にできること HIV・AIDSボランティアを通して

現在ケニアで暮らす戸倉さんは、長年、HIV・AIDSボランティアに携わってきました。
現地の孤児院でHIV感染孤児とふれあいながら、あらためてHIV・AIDSとの関わり方を考えます。

ケニアの孤児院でボランティア HIV感染孤児とのふれあい

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HIV感染予防をよびかけるポスター

「Hi!トニー」
歩行補助車に乗った1歳のトニーが近づいて来て、「アー」と満面の笑みで話しかけてきます。ハイハイをしながらマットの上を動き回る女の子や、ミルクを飲ませてもらう赤ちゃんたちで賑やかなここは、アフリカ、ケニアの首都ナイロビにある孤児院。0歳から3歳までの子どもたちが生活しています。
この施設の特徴はHIV感染の子どもたちを積極的に受け入れていることです。多くのスタッフがいるうえに、国内だけでなく世界中からボランティアが訪れ、子どもたちと遊んだり、食事の世話、清掃などのサポートが行なわれている充実した施設です。
2006年10月から夫の仕事の関係でケニアに滞在している私は、空いた時間を利用してこの施設でボランティアを始めました。さっそく哺乳瓶でミルクをあげることになりましたが、子どものいない私にとって、赤ちゃんにミルクをあげるのは初めての経験。指導を受けながら、なんとか口に含ませてあげることができました。赤ちゃんの笑顔はとても可愛く、心洗われる幸せなひとときです。

通常の生活ではHIVに感染することはありませんから、感染している子どもも、そうでない子どもも共に生活をします。子どもたちは毎日、いろんなスタッフや世界中から訪れるボランティアに抱かれミルクを飲ませてもらっています。そのせいか、初めて訪れるボランティアにも人見知りをせず、笑顔で抱かれています。もし孤児にならず、毎日お母さんだけがミルクをあげていたら、それ以外の人から飲ませてもらうのを嫌がるかもしれません。そんなことを考えると少し切ない気持ちになります。

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ナイロビ市内のほとんどの店のレジの横に置いてあるAIDS患者支援のための募金箱

AIDSとは、「後天性免疫不全症候群」の略語で、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)に感染し免疫が低下することでさまざまな病気を発症している状態のことです。ケニアの人口は約3300万人。人口の4%にあたる約130万人がHIVに感染しており、約110万人のAIDS孤児(AIDSにより両親のいずれかまたは両親を亡くした子どもたち)がいると言われています。全世界のHIV感染者の約6割がアフリカに集中しているそうです。(*注1)
「もし私が感染していたら自殺するかもしれない」、知人のケニア人女性の言葉です。AIDSに関する正しい知識を知っていたら、決してこんな風には言わないでしょう。
HIV・AIDS問題に取り組む団体はケニアだけでも800以上あり、正しい知識を伝えるためのワークショップやイベントが数多く行われていますが、それでも、HIV感染が原因で不当解雇されるなど、間違った情報や偏見、差別は解消されていません。

ミルクを飲ませていると、腕にずしりと赤ちゃんの重さを感じ、温かさが伝わってきます。その重さと温かさを通して、小さいけれど確実に命が存在していることを実感します。この子どもたち一人ひとりに父親と母親がいるはずです。貧困、望まぬ妊娠、HIV感染・・・。どんな理由で孤児になってしまったのでしょうか?

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土産物屋で売られているビーズで作ったレッドリボン(HIV感染者・エイズ患者への理解と支援の意思を表すシンボル)

アフリカではすでに大きな社会問題となっているHIV・AIDSですが、他の諸外国に比べ少ないとはいえ、日本でも毎年のように感染者が増加しています。
「もし私がHIVに感染したとしたら、家族や友人は受け入れてくれるだろうか・・・」、他の感染症とは違い、病気や身体のことだけではなく、いろんなことを考えさせられるのがAIDSという病気なのではないでしょうか?
私が、最初にHIV・AIDSに関心を持ったのは1991年、昼間は会社員として働き、夜間の大学に通っていた頃のことでした。

 

注1<参考資料>UNAIDS 2006 Report on the global AIDS epidemic(Annex 2: HIV and AIDS estimates and data, 2005 and 2003.)

*HIV・AIDSに関する詳しい情報は以下のサイトをご覧ください
HIVと人権・情報センター
http://www.npo-jhc.com

HIV検査・相談マップ
http://www.hivkensa.com/index.html

*参考書籍&ウェブサイト
『知っていますか?AIDSと人権一問一答 第3版』
(屋鋪恭一・鮎川葉子著 解放出版社)

 

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