女の生き方ファイル

親孝行の選択

Y.H 30歳

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7年前、仕事がきつく肉体的にも精神的にも疲れ果てていた私は、離れて暮らす故郷の両親にも心配をかけ、親不孝をしているという思いにさいなまれていました。親の心配を減らしたいと思うと、思い切って東京を離れ親元に戻り再出発しよう、と考えるようになりました。お世話になっている地元の方に相談したところ、「親孝行とは、子どもが生き生きとしていることであって、そばにいることじゃない。距離は関係ないんだね。だからあなたは戻ってくる必要はないんじゃないかな」と言われました。“親に心配をかけたくない”という思いとは別に、私の心の奥底にある“今の苦しみから逃れたい”気持ちを見抜かれていたのです。もう一度、東京に残りがんばろうと思い直しました。

職場を変えて働き始めたところ、こんな世界もあったのかと思えるほど楽しく働けるようになり、両親も喜んでくれました。嫌なことに対して、環境や条件のせいにして怠けてはいけないけれど、努力してもダメなときは、ときには条件を変えることも大切だと実感しました。

順調に過ごしていた5年前、今度は故郷の県立大学から、東京で修士号を取得して助手のポストに就いてほしいというお話がきました。実家では祖父の介護問題も持ち上がっており、今度は前向きな気持ちで故郷へ帰る決心をし、大学院へ進学しました。その矢先、祖父が急逝。その後2年間勉強し、修士修了の直前、帰郷を目前にして、もうこれ以上の人には会えないかもしれない、と思える男性の存在が心の中で大きくなってきました。その人は7年前に苦しんでいた時の私も、立ち上がってがんばってきた私も、ずっと身近で見守ってくれていた存在でした。

再び本当の親孝行について考え、悩みました。両親は二人きりで寂しいらしく、私が戻るのを楽しみにしていること、故郷の大学で働くために修士号まで取得したことを思うと、このままおとなしく故郷で仕事に励む方がいいような気もしました。けれど、7年前に教えていただいた本当の親孝行は、“距離じゃなく子どもが幸せに生きていること”だということを思い出し“私が幸せに生きること”について悩み抜いた結果、東京に残り結婚する道を選びました。

現在はおかげさまで一児の母となり、日々生活に追われながら夫とともに子育てに励んでいます。双方の両親が初孫の成長に目を細め、喜んでくれることが何よりうれしく幸せに感じます。離れてしまっている分、将来的に故郷の両親の介護のことなど、この先への不安はなくもないのですが、過去(因)の積み重ねの結果が現在(果報)であると同時に、現在は未来(果報)のもと(因)である、と教えてもらっています。だからこそ、未来への不安を思うよりも、「今、ここ」を大切に、目の前にあることに向き合い、毎日、自分のベストを尽くして生きていきたいと思っています。そうすれば、その積み重ねの結果としてそれにふさわしい道が自ずとついてくると信じ、あとは神仏にお任せしています。

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