女の生き方ファイル

親子で一歩前進

琴未祐基のはは 43歳

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我が家に、待望の長男が生まれ、今年、1年生になりました。
まわりからは、「もういいわね。もう安心ね」と言われ、私自身も「そうね。少しは楽になれそうね」と思いはじめたころ。
4月の2週に入ったある朝、長男が「今日は何を持っていくのかわからないから学校に行きたくない」と言い出しました。

担任の先生のお考えで、持ち物などは口頭で伝え、しっかり覚えてから帰宅するようになっていました。長男も言われた時は覚えているようですが、学童保育に行って皆とサッカーに夢中になったりすると、帰宅する時には忘れてしまうようです。無理もありません。

その日は、虫取りカゴを持っていくのかどうかで悩み、一応持っていかせましたら、教室に入る前にクラスメートに、「今日は草取りの日だからカゴはいらないよ」と言われ、泣きながら家に帰ってきました。それからは、新入生歓迎会、春の遠足、地域探検、運動会、その他クラスでのちょっとしたイベントなど、ことごとく欠席してしまいました。
さすがに運動会の朝、「行きたくない」と言い出して休んでしまったことは、前日まで元気に練習をしていたのでショックでしたが、「そうした行事以外は学校に行っているのだから、まあいいか」と、私も主人も母も、同じような気持ちでいました。

ところが、学芸会の時には、練習日にも学校に行くのを嫌がったのです。担任の先生が説得しても「練習には絶対に出ない」と給食も食べずに言い張り、泣いていたそうです。この出来事をきっかけに先生や家族と話し合い、長男に一歩成長してもらう良いチャンスと認識して、学芸会に出られるよう、少し厳しい態度で接することにしました。

長男には、どうして学芸会が嫌なのかをあらためて問いました。すると、「大勢の人に見られるのが恥ずかしい」と言うのです。私は「全員で一つのことをすることはとても大切」「みんな緊張したりはずかしかったりするけど、頑張ってる」「誰でも嫌なことはあるけれど、逃げてばかりはいられないんだよ」というようなことを伝えましたが、私をにらみつけるような目で見て、「絶対に出ない!」の一点張りです。

朝は、体重が33kgある大きな体を無理やり引っ張り学校に連れて行きました。ご近所の目も気にせず、痛いと泣いている長男と道路で引っ張りっこです。その日はひきずってもどうにもならずに、あきらめて帰宅し家の中で遊んでいました。「学芸会に出る気持ちになるまではここから出さない」と決め、長男を家の一室に入れました。本人も頑固に「絶対に学芸会には出ない」と言い、自ら部屋にこもってしまいました。

夕方になり、それでも言い張る長男に対し、「お母さんは今度ばかりは絶対に折れないよ。学芸会に出なければ絶対にここからは出せないよ」と強い姿勢で向かいました。私自身が、今まで中途半端に長男を甘やかしたこと、わがままを通させてしまったことを反省し、長男に勇気を出してほしいと願いました。そして、「絶対にがんばれる」と信じて長男の心と向かい合うことにしました。

鍵もかけていないし、電気も自分でつけられる部屋で、ただただ泣き叫ぶ長男。姉や父親に泣きながら助けを求めていました。
ドアを1枚隔てた廊下に座り、その声をずっと聞いていた私の目にも涙があふれました。「学芸会出られる?」「練習は出るけど本番は出ない」「だめ。今回はお母さんは絶対に折れないよ。先生と約束したんだから。大丈夫だよ、学芸会は出られるよ」「・・・やだ練習は出るけど」「お母さんは絶対折れないよ」「・・・わかった。学芸会出るよ」
そんな山を乗り越え、学芸会で長男は、「雷の子」の役をがんばりました。そして「学芸会楽しかった」と、うれしそうに話してくれました。
私たちにとっても、とってもうれしいできごとでした。

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