◆全盲のケニア人指圧師
◆世界初! 女性
ニャティティ奏者
◆虐殺と病を乗り越えて
◆スラムの人々の命を看続けて
◆日本食材店を切り盛りするシングルマザー
◆紅茶農園の女主人
◆ストリートチルドレンと共に
◆HIV感染者でAIDS活動家
◆国際協力NGO職員
カズリビーズを作る
ママたち

戸倉由紀枝

会社員を経て、HIV・AIDSに関するボランティア団体で3年間ボランティア活動に参加。引き続き専従スタッフとして電話相談や感染者へのケア・サポートなどを行なう。その後、旧ユーゴスラビア、ルワンダ、カンボジア、東京で国際協力NGOに勤務。2006年10月より夫の勤務先であるケニア・ナイロビに在住。

 

生き方ファイルスペシャル
「自分にできること〜HIV・AIDSボランティアを通して」

元気充電旅日記 番外編
「夫婦水入らずのエジプト旅行」

輝く女性たち アフリカレポート

自分の生きがいを見つけた女性は、体全身からパワフルなオーラを発しています。
遠いアフリカで生きがいを見つけ、活躍している女性たちを紹介します。

pointカズリビーズを作るママたち

photo
仕事がなく生活に困っているシングルマザーの力になりたい。そんな想いを抱くイギリス人女性と二人のケニア人のシングルマザーが32年前に出会い、カズリの工房を始めた。現在では、350人のシングルマザーが働き、世界30カ国以上でカズリの製品が販売されるまでになった。


●仕事のないシングルマザーの力になりたい

photo

スーザンさんとカズリを初めてから31年が経ったエリザベスさん(左)とアンジェリナさん(右)

ケニアの土産と言えば、紅茶、コーヒー、カシューナッツなどが有名だが、他にもお勧めの土産がある。『カズリ』の陶製のビーズアクセサリーやカップだ。ピアス、ネックレス、ブレスレット、指輪は、アフリカらしいカラフルな色遣いがおしゃれだ。ティーポットやカップはどっしりと厚みがあり、手描きの絵が素朴でかわいい。忙しい時やイライラしている時に、カズリのカップでミルクティーを飲むと、ホッとし、やさしい気持ちになれる。
『カズリ』は、1975年に3人の女性によって創められた。イギリス人入植者であるスーザンさんは、仕事がなく生活に困っている多くのシングルマザーの存在を知り、彼女たちの力になりたいと思っていた。そしてスーザンさんは、自分の趣味であるビーズアクセサリー作りで何かできるのではと考え、ケニア人のシングルマザー、エリザベスさんとアンジェリナさんと一緒に工房を開いた。そして『カズリ』というブランドで陶製のアクセサリーづくりを始めたのだ。

●シングルマザーの希望をつなげた『カズリ』

photo

ビーズを焼く前の色付け作業中のスタッフ

ケニアは仕事自体が少なく、ましてや、教育を受けておらず専門技術のないシングルマザーが仕事をみつけることは非常に難しい。ナイロビ市内では、夫の死後、収入がなくなった女性が、子どもを連れ、日がな一日路上で物乞いをしているのを見かける。
エリザベスさんとアンジェリナさんは、スーザンさんに出会うまでは、日々の生活をしていくのがやっとだった。
エリザベスさんは今年(2008年)で56歳になるが、生涯、結婚はせず、二人の恋人との間に5人の子どもを儲けた。恋人は二人とも若くして亡くなった。そのため一人で子どもを育てていかなければならず、雑貨や野菜を売ったり、できることは何でもしたが、生活は一向に楽にならなかった。
だがエリザベスさんは、二人目の恋人がスーザンさんの家の料理人をしていたことがきっかけで、スーザンさんに声をかけられ、一緒に工房を始めることになる。それからずっと『カズリ』で働くことになったエリザベスさんは、生活も安定し、子どもたちを学校へ通わせ、小さいながらも自分の土地を持つまでになった。

photo

ビーズはアフリカらしいカラフルな色遣いがおしゃれ

ビクトリア湖地方出身のアンジェリナさんはエリザベスさんより2歳年上。若くして結婚し5人の子どもを出産した。その内二人は病気で亡くなり、20歳の時に夫が病気で亡くなった。魚の行商をして暮していたが、生活は苦しかった。スーザンさんの家で料理人をしていた義兄を頼り、ナイロビへ行き、スーザンさんと知り合い、一緒にアクセサリーづくりに参加した。エリザベスさん同様、安定した収入を得られ、子どもたちを学校へ通わせることができた。数年後、『カズリ』の工房を定年退職した後は、故郷に戻り、家と土地を買いのんびり余生を送りたいという。

●女性にやさしい職場環境を実現

2006年、スーザンさんが88歳で亡くなった。設立から働いてきたエリザベスさんとアンジェリナさんは、『カズリ』の工房で一番の古株となった。ビーズ製作の全工程を把握している二人は、若いスタッフに技術指導をする立場にある。定年退職まで、できるだけ多くのことを若いスタッフに伝えていきたいという。
スーザンさんの死後、『カズリ』はイギリス人の女性に売却された。この女性が経営するようになり、市場が開拓され、注文が常時来るようになり、給料も上がった。

photo

カズリのショップに飾られてあるスーザンさんの肖像画

『カズリ』では、昔も今もシングルマザーを雇うようにしている。そして、多くのスタッフがスラムの住人だ。平均月収は、約1万4千円。給与とは別に、医療費が補助され、給料日には生理用品が支給され、また一日3回、ミルクティーが出される。工房がナイロビ郊外にあるため、送迎バスもある。貧富の激しいケニアにおいて、決して高額な給与とは言えないが、庶民が生活していける額であり、社会保障制度がないに等しいケニアにおいて、『カズリ』のスタッフへの手当てはかなり充実している。

●世界中へ広がるカズリビーズ

エリザベスさんとアンジェリナさんにとって、スーザンさんはただの雇い主ではなく、困った時にはいつも力になってくれる母親のような存在だった。32年前に3人で始めた『カズリ』は、今や350人のシングルマザーが働き、イギリス、アメリカ、カナダ、日本など30カ国以上で製品が販売されている。

photo

KAZURIはスワヒリ語で、小さくてかわいい物という意味

貧困で苦しむ人々への支援は、国連やNGOなどの援助団体だけがするものではない。『カズリ』のように、一企業が、スラムの住人やシングルマザーなど特定の貧困層の人々を雇用することも支援となる。
スーザンさんの想いは、現在の経営者、シングルマザーたちに受け継がれ、そして『カズリ』の陶製のビーズやコーヒーカップを通して、世界中へと広がっている。

 

カズリ(KAZURI)のWEBサイト
www.kazuri.com

 

Page up

 

Copyright (c) 2001-2007 Rissho Kosei-kai. All rights reserved.