世界初!女性ニャティティ奏者
向山恵理子さん(26歳)
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向山さんは、世界でたった一人の女性ニャティティ奏者。ニャティティとは8弦の楽器で、これまで男性だけに伝承されてきたケニア・ルオー族の伝統的な弦楽器だ。 |
●ニャティティとの出合い
4歳でピアノを習い始め、中学生になるとバンドを組み、いつも音楽は身近な存在だった。アフリカ音楽との出合いは、大学を卒業してからになる。
ブルケンゲという東アフリカの伝統音楽を奏でるバンドのライブに、急遽助っ人として参加した。向山さんは「何だろう?もっと知りたい」と、これまで聴いたことも体験したこともない音楽に魅せられていく。
大学卒業後は、父親の経営する会社で秘書として働きながら、休みを利用し、東アフリカの生の音楽を体験しようとケニアへ通うようになる。歌やダンスを学び、そして3度目の訪問時にニャティティと出合った。それはとても個性的な楽器だった。その奏者は小さな台座に座り、ニャティティを地面に置く。右足首に鉄の鈴を付け、右足の親指に鉄のわっかをはめ、ニャティティの木の部分に打ち付けながらリズムをとり、歌いながら弾くという、まるで一人オーケストラのような楽器だった。東アフリカの伝統的な楽器を習得し、ソロでの演奏活動を行ないたいと思っていた向山さんにとって、ニャティティはぴったりだった。
●ルオーの村での修行の日々
当初、向山さんはナイロビの師匠のもとで学んでいたが、伝統音楽を習得するには、その民族、文化についても知る必要があると感じるようになり、ルオーの村に住む師匠の下で修業をすることを決意する。
二人もの師匠が、男性のみに伝承されてきたニャティティを向山さんに教えてくれるまでになったのは、彼女の真剣さと熱意が並々ならぬものだったからだろう。
ルオーの村に住む師匠の家に行くには、ナイロビからバスで9時間、徒歩で2時間かかる。もちろん電気や水道はなく、ケニアの公用語であるスワヒリ語も英語も通じず、村人が話すのはルオー語だけだ。向山さんは牛の糞でできた師匠の家に住み込み、掃除、水汲み、薪拾い、食事の準備など、家の手伝いから始めた。
向山さんはすぐに弟子として認められたわけではない。外国人の女の子の気まぐれだから、根をあげすぐにナイロビに帰ってしまうだろう、と師匠は思っていた。しかし、真面目に家の手伝いをし、不平不満を一言も言わず、村の生活に溶け込もうと努力する向山さんの態度が、師匠の心を動かしたのだろう。いつの頃からか稽古をつけてくれるようになった。向山さんは必死に練習し、6ヶ月後には曲を奏でることができるようになり、気がつけばルオー語も話せるようになっていた。
●女性ニャティティ奏者誕生
向山さんが村で修業を始めて8ヶ月後の2006年11月、彼女は、2人の師匠、長老たち、村人、関係者らを前に試験演奏会を行なうことができた。それは世界初の女性ニャティティ奏者の誕生だった。2人の師匠も演奏に参加し、向山さんの試験演奏会に花を添えてくれた。この日の3人の演奏は「NYATITI−Luoの魂−」というタイトルのCDとなった。
外国人の女性がルオー語を話し、男性のみに伝承されてきた伝統楽器を奏でる。この向山さんのエピソードは、ケニアの新聞、テレビ、ラジオで何度も紹介された。向山さんは師匠からもらったアニャンゴというルオーの名前で、ケニアの多くの人に知られるようになり、町を歩けば握手やサインを求められ、演奏依頼が次々とやってきた。向山さんは戸惑いながらも、廃れつつあるルオーの伝統音楽が注目され、多くの人々にルオーの音楽を聴いてもらえることに喜びを感じている。
●夢に枠はいらない
現在、向山さんは日本とケニアを行き来する生活を送っている。日本では父親が経営する会社で働きながら、ニャティティのライブを精力的に行い、さらにアフリカンダンスとニャティティを教えるようにもなった。そして今年の8月には、ルオーの村に泊って伝統音楽を体験するという、向山さんが同行するスタディーツアーが実施される。
「ルオーの伝統音楽をもっと盛り上げ、師匠たちやアフリカの音楽仲間と一緒に日本でライブをしたい。ルオー語と日本語の辞書も作りたい。人生は一度しかないのだから、したいことをして私自身が充実した人生を送り、そして周囲の人々に少しでも良い影響を与えられた嬉しい」
向山さんの夢は尽きることがない。ニャティティ奏者、ミュージシャンという枠にとらわれることなく、彼女の活動は日本とケニア、そして世界へ広がって行く。
CD「NYATITI−LUOの魂―」絶賛発売中!!!
http://www.herb.ne.jp/~burukenge/
スタディツアー
〜アニャンゴ(向山恵理子)と行くルオー民族音楽とマサイマラ10日間(7月30日〜8月8日)〜
http://tabisen-tsunagu.orio.jp/pickuptour/content000082.html
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